■■■「BEFORE DAWN ビフォア・ドーン」■■■
(55点/モンスター)
アレックスとメグの夫妻は、仕事を忘れて週末を過ごす事によって夫婦間の冷めきった関係を修復すべく、2人で田舎町にあるコテージを訪れる事になる。
しかし、すれ違いによって上手く関係を修復できない彼らだったが、そんなさなか妻がランニングの途中に森の中で異常に凶暴な男に遭遇。
足を噛まれて怪我を負ってしまう。
アレックスは何とかして助けを呼ぼうとするが街への連絡は全く通じず、更に配電盤を修理しようと外に出た際に怪物と化した地元の住人に遭遇した彼は、このままでは妻がいずれゾンビと化してしまう事に気付くが…
田舎町のコテージに訪れた中年夫婦の妻がゾンビに襲われてしまったせいで、救いの無いトラブルへと巻き込まれていくという、モンスターホラー映画。
とある倦怠期の中年夫婦の奥さんがゾンビに噛まれたせいでゾンビ化してしまうんだけど、『人間の肉を食べた直後だけ正気に戻る』という事を知った旦那が『とある決断』を下す…という一風変わった感じの設定のゾンビ映画ですね。
設定から分かるとおり何というかやるせない感じの切ないお話で、全体的に暗いというか重い感じの内容です。
ゾンビ映画なのですが人間ドラマ的な部分に力を入れてるような感じのお話で、序盤~中盤にかけては冷め切った夫婦の関係とか家庭事情とかが割と細かく描かれるのですが…
旦那が失職中だったり浮気した過去がありそうだったりで『妻に引け目を感じている』という設定は分かるのですが、それにしても奥さんが異様に意固地で旦那に対して矢鱈と冷たく当たるため、正直言って観てて旦那が可愛そうにになって来ます。
ゾンビ化するまでに『最後まですれ違ったままだった奥さんとの関係』を修復したいがために、旦那が『行動』を決意するという動機付けになっているんでしょうけど、あまり奥さんに同情できる余地が無いので旦那の『救おうとする行動』に今ひとつ感情移入できないのは困りもの。
この設定なら奥さんがゾンビ化する直前に、もうちょっと『和解の兆し』ぐらいがあっても良かったんじゃないかなぁ?
また設定からして『救いのない話』なのは予想が付くのですが、今ひとつ旦那の陥って行く『狂気』がアッサリと描かれすぎで終盤が盛り上がりに欠ける事や、『絶望感』に現実味が無くてラストの展開に説得力が薄いのは惜しいところ。
オチに関しても完全に投げっぱなしで、何の解決もしてないし殆ど何のオチも付いてないせいで、テーマ性があまり感じられずに『なんのこっちゃ?』って感じの映画になってしまっているのが勿体無いです。
もうちょっとその辺のテーマ性がシッカリと描かれてて、オチとかに関してもインパクトのあるような内容であれば良い作品になったと思うのですが…
総評としましては、ゾンビ映画としては一風変わった面白い切り口だと思うのですが、設定の割には中身の方は『どうにも印象に残らない映画』ってのが正直なところです。
全体的に非常に地味な作品ですし観ていて楽しい内容でもないので、強くオススメする事はしませんが、ゾンビ映画が大好きな人であれば『他にはあまり無いテイストを持った作品』としてチェックしてみる価値はあるかもしれません。
物足りない部分は多いですが全体的に悪くは無い映画だと思うので、予告とかを観て気になっているのであればチェックしてみても良いレベルの一本ではないでしょうか?