■■■「ザ・パック 餌になる女」■■■
(55点/モンスター)
フランスの片田舎の道をドライブしていたシャルロットは、ヒッチハイクで乗せた男性と共に『ラ・スパック』という寂れた食堂へと辿りつく。
しかし、男性が食堂のトイレに入ったきり姿を消してしまった事にからトイレの中に男性を探しに入ったところ、その場所に『隠し扉』のようなものを発見。
食堂の女主人に問いただしても体よくはぐらかされた事から不審に感じた彼女は、深夜に食堂へと侵入し隠し扉の奥を調べようとするが、逆に食堂の女主人によって捕らえられてしまう。
女主人によって倉庫のような場所に監禁された彼女は、自分と同じように何人もの人間がこの場所に監禁されて、生かさず殺さずの状態で血液を抜き取られ続けている事を知るが…
欧州の田舎町で『怪物の餌』として監禁される事になった一人の女性の運命を描く、フランス製のモンスターホラー映画。
なんというかタイトルを聞いても内容が今ひとつピンと来ない感じの作品ですが、ある意味で欧州らしい独特のセンスを持ったホラー映画ですね。
お話としては、欧州を旅していた一人の女性が寂れた田舎の食堂で中年女に拉致されて怪物の『餌』として監禁されるという感じの内容なのですが…
サイコサスペンスっぽい序盤~モンスターホラーと化す中盤以降への急展開っぷりとかなかなかの意表をつく展開で良い感じです。
欧州の田舎町のかもしだす『得体のしれない不気味な雰囲気』とか『この作品の独特の個性的な設定』が良い味を出しており、先の全く読めない構成なのは面白く、本気でラストまでどういう展開になるのかが全く予想できません。
ただ予想外の展開を仕込んでくるのは良いのですが、あまりに展開が唐突すぎて説得力がないシーンも散見され、怪物もオリジナルでバックボーンの無いタイプなので怪物の存在感に『説得力』が欠けるのは辛いところ。
特に怪物が完全にオリジナル(だと思うんだけど元ネタがあるのか?)の割には、今ひとつ個性やインパクトが無くてちょっと面白味に欠けるために、どうにも怪物の登場シーンが今ひとつ盛り上がらないんですよね。
登場人物のキャラクターもキチ●イの女主人以外は個性が薄くて、ヒロインとかサブキャラとかに今ひとつ存在感が感じられないのも残念なところ…(バイカー軍団とか扱いがぞんざいすぎる…)
オチも、どうにも『なんのこっちゃ?』って言うような終わり方ですし…
作品のテンポとかは良くてグイグイと引っ張るような構成ですし、狙ってる方向性も割と面白いですし、映像センスとかもなかなか良い感じだと思うのですが、全体的に荒削りというか微妙に物足りない部分が散見されるので、その辺がもう少しシッカリと作られてればなぁ…という感じでしょうか?
総評としましては、欧州らしい独特のセンスはとかは良い感じなのですが『全体的になんとなく物足りなさの残るモンスター映画』といった感じの作品でした。
前述のとおり、誉めるべき部分もそこそこあるものの微妙な部分も散見されるものの、欧州ホラーの雰囲気が好きな人や、ちょっと毛色の変わった感じの作品を求めているのであれば、それなりに欲求は満たされるレベルだと思いますので、そういう方向性で気になっているのであればチェックしてみても良いかもしれませんよ。