NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ランズエンド -闇の孤島-」(55点/サスペンス)

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■■■「ランズエンド -闇の孤島-」■■■
(55点/サスペンス)

 海沿いの街・ランカシャーの郊外で一人の少女が惨殺される。

 刑事のジョーとクリシーの兄弟は、被害者の女性と面識があり性犯罪の前科のあるビューリーという男が怪しいと考え、男の家を捜索したところ少女の遺留品などが発見された為に逮捕するが、事情聴取の結果、男は証拠不十分で釈放されてしまう。

 どうしても彼への疑惑を拭いきれないジョーは、酔った勢いで弟と一緒に男を離れ小島へと男を拉致して、拷問を加えて自白を強要。
 更に自白の言葉を聞いた彼は、怒りに任せて男を殺害してしまう。

 彼らは男の死体を砂浜に埋めて事件を隠蔽しようとするが、翌日に男が犯人ではない可能性を示唆する証拠が発見され、真犯人がゆきずりの少年であった事が発覚。

 ジョーは、同僚に事件が発覚する事への恐怖と罪の意識から、徐々に情緒不安定な状態に陥っていき…



 誤認逮捕した犯人を誤って殺害してしまった刑事が、事件を隠蔽しようとするうちに泥沼に嵌っていくという、サイコサスペンス映画

 最初に予告編の映像を観た感じやら、タイトルに『闇の孤島』とかって付いてる辺りから、もっとカルトムービー的な内容を予想していたのですが、思った以上に割と普通のサイコサスペンス映画といった感じの作品でした。

 ストーリーとしては『神経質な性格の主人公が犯人を誤認逮捕したうえに勢いあまって殺害してしまって、それを隠蔽しようとする』って話なのですが、ストーリーから分かるように全体的に『救いの無いお話』で、特に中盤に真犯人が発覚して以降の展開は、あまりにも『やるせない空気』にちょっと気分が滅入ってしまいそうになります。

 作品のテーマやストーリーを含めて、全体的にローテンションでジメジメとした暗い印象の付きまとう作品で、ノリとしては『ダウナー系の雰囲気映画』と言う感じですかね…

 サスペンスとしてそもそもが『ハッピーエンドには成り得ない設定』なので、ストーリーに意外性とか凝った部分とかはあまり無いのですが、人間ドラマを厚く描く感じの展開で観ていてあまり退屈しない感じになっているのは良いですね。

 ジメジメした暗い雰囲気も、こういった『雰囲気映画』が好きならば一周して逆に心地よさを感じるような印象。
 ただ、やはり全体的にスローテンポなのと特に大きな事件も起こらないままストーリーが進んでいく事もあって、ちょっと冗長さを感じてしまう部分も…

 また全く救いようの無いような設定なのですが、ラストの方の展開なんかは『ちょっと良い話』風のまとめ方で、意外にも救いのある感じのキレイなオチになっており、観終わった後に不快感を残さない作りなのもなかなか上手いと感じました。

 ただ、主人公のキャラクターの掘り下げに『少しもの足りないかな…』と感じる部分もあって、最初に主人公が犯人を激昂して殺してしまう理由が『娘と同い年ぐらいの少女が惨殺されて感情移入しすぎたせい』だったり、その後の隠蔽しようとする行動も『優秀な刑事だった父親のキャリア』が影響を与えてたりするのでしょうが、その辺の説明がやや足りておらず主人公が単に『自分本位な人』みたいになっちゃってるのが惜しいところかなぁ?

 その辺がもうちょっとシッカリと描かれてれば、もっと感情移入できて中盤の冗長さが緩和されたと思うのですが…


 総評としましては、普通にサスペンスとして観るとやや物足りなさがあるものの、『サスペンスの風味を持った雰囲気映画』として観るならばそこそこ良くできた作品だと思います。

 強くオススメするほどでは無いですが、こういう『ダウナー系のドラッグのような雰囲気映画』が好きな人であれば割と楽しめるタイプの作品だと思いますので、そういう人であれば観て置いても損は無い一本だと言えるでしょう。

 タイトルや雰囲気からD・リンチみたいなトンガったノリ』を期待してると肩透かしを食らうかもしれませんが、『総じて悪くは無い出来の作品ではありましたよ。