NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ポゼッション」(55点/オカルト)

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■■■「ポゼッション」■■■
(55点/オカルト)

 妻と離婚し週末のみを二人の娘と過ごす事を許可されたバスケットのコーチのクライドは、2人の娘と共に訪れた近所のガレッジセールで『古代語のような文字の彫られた奇妙なアンティークの木箱』を購入する。

 しかし、その箱を買って以来、次女のエミリーの様子が唐突に変異し、粗暴で暴力的な性格になり、まるで別人に乗り移られたかのような行動を取るようになってしまう。

 最初は『両親の離婚による急激な環境の変化の影響』だと考えていたクライドだったが、周辺で奇妙な事件が相次いで発生した事に加えて、『箱の中に女性が住んでいる』と言って箱に異常な執着を示すエミリーの態度から、その箱に『超自然的な何かが潜んでいるのではないか』と考えるようになり…



 奇妙な『箱』を手に入れた事によって悪魔に取り憑かれる事となった少女と、その家族の味わう恐怖を描いた、オカルトホラー映画。

 「ポゼッション」といっても、イザベル・アジャーニ主演のカルトホラー映画とは関係なく…って、以前にも同じような事をどこかで書いた気がしますが、今回もあの「ポゼッション」とは何の関係もありません。
 こちらはサム・ライミ率いる製作スタジオである「GHOST HOUSE」による新作で、いわゆる『悪魔祓いもの』のオカルトホラー映画ですね。

 なんでも本作は『実話をベースとしたフィクション』だという事ですが、何と言うか最近は『悪魔祓いもの』だったら取り敢えず『実話をベースとした…』と言っておけば良いと思ってるんじゃないかと言う気がするぐらい、この煽り文句を良く見かけますな。(笑)

 まあそれはさておき、お話の方は何と言いますか非常にオーソドックスなオカルトホラー映画って感じの作品ですね。

 本作も「GHOST HOUSE」の作品らしく、非常に手堅くできている感じの作品ではあるのですが、オーソドックスすぎて今ひとつインパクトに欠ける印象。

 ストーリー的には、女の子が謎の『箱』を手に入れた事から悪魔に取り憑かれるんだけど、それに加えて離婚がらみの家庭環境の問題とか人間ドラマ的な要素が絡んでくるという感じで、ツマんなくは無いんだけどちょっとストーリーがオーソドックスすぎて先が読めすぎてしまうんですよね…

 キャラクターも割と良く立っているんですが、あまりにもお約束すぎる印象で『離婚後の奥さんの交際相手』とか最初からあからさまに悪魔の犠牲になる『噛ませ犬』みたいな状態なのが、ちょっと笑ってしまいました。

 でも製作スタジオがそこそこ大手な事からB級ホラーとしては割と予算がかかっている感じで、演出や特撮なんかがシッカリしてるのは良い感じ。

 少女のもとに蛾が大量に集まってくるシーンのインパクトや、MRIスキャンで悪魔の影が見えるシーンとかのアイデアはなかなか面白いですし、全体的なセンスは悪く無い印象です。

 ただ、それらのシーンがアイデアだけで終わってしまっており本編に濃く絡んでくる訳でも無いので、他のショッキングなシーンを加えても全体的に印象が薄いんですよね。
 アイデアや素材は悪く無いんだから、もうちょっとビジュアル的にショッキングでインパクトのあるシーンがあっても良かった気がしますよ。

 お話の展開が遅めで、盛り上がるまでがちょっとダルいのもやや難点といった感じですかねぇ…

 全体的な出来としては悪く無い部分の方が多いのに、凡庸すぎて物足りない印象になっているのが惜しい感じの作品でしたよ。


 総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『ごく普通のオカルトホラー映画』と言った感じの作品です。

  作品としての出来は決して悪く無いですが、何と言うか『ちょっとパンチ力に欠ける感じ』なので、過剰な期待をしなければそこそこ楽しめる一本ではあると言えるでしょう。

 まあでも強く推すほどではないですが、この手の『悪魔祓いもの』やオカルト映画が好きな人であれば、とりあえずチェックしておいても損は無い映画ではあると思いますよ。