■■■「シー・トレマーズ」■■■
(40点/モンスター)
古代生物の研究家である海洋生物学者のスカイラーは、自身の学説を証明するために地元の海域に詳しいジャックのクルーザーをチャーターしスマトラ沖を航行していた。
しかし、調査の途中で立ち寄った海上の漁場で2人の少年たちが強制労働させられているのを知った彼女は警察に漁場の実態を訴えるが、全く取り合って貰えなかった事から、なんとかして自分で少年たちを救出しようと漁場に向かうが、そんな矢先に正体不明の毒針を持った巨大生物が漁場を襲撃し…
スマトラ沖の海上で正体不明の巨大生物に悪徳漁師たちが襲われるという、モンスターパニック映画。
タイトルに「トレマーズ」とかって付いていますが、当然ながら本家とは何の関係も無い作品で、原題は「AMPHIBIOUS 3D」(水陸両生)。
海底から出現した巨大なウミサソリ(作中ではミクソプテルス)が人間を襲うというお話ですが、ウミサソリを題材にしたモンスター映画ってのはあまり聞いた覚えが無いので、そういう意味ではちょっと斬新かも?
ちなみに『死霊のしたたり』シリーズでお馴染みのブライアン・ユズナ監督の作品なのですがで、中身の方は『良い意味でも悪い意味でもブライアン・ユズナらしい映画』と言う感じですかね…
いわゆる『かなりの低予算系のモンスター映画』なのですが、ユズナ監督だけあって低予算での撮影は手馴れたものといった感じ。
『低予算なりの映画の見せ方』をしてくれるので、そこまでテンポが悪くて退屈だったり、予算不足で酷い事になってる部分を感じたりさせられないのは割と良い感じ。
ただまあやはり低予算ゆえに辛い部分は多くて、特に辛いのはモンスターがなっかなか登場しないところ。
序盤~中盤は子供に強制労働させる悪徳漁師たちとのトラブルがメインで怪物は殆ど登場しませんし、この悪徳漁師たちが『かなりイラっとするキャラ』なので不快感から実際の時間以上に体感時間が長く感じてしまうのが厳しいです。
また、序盤はモンスターが登場しても『尻尾の先』のみとかで『予算かかってないなぁ』というのが感じられてしまうのですが、モンスターのパーツの一部のみをマペットにしたりしてて、それなりに工夫はしてる印象。
ラストにモンスターが全身を現して主人公たちと戦うシーンでのCGのモデリングとかは悪く無いし、CGの割には人間との絡みもちゃんとしてるので、このラストシーンの為に予算の大半を使っちゃったんだろうなぁ…
ただ、せっかく『ウミサソリ』がモチーフになってるのに、登場する怪物がどう見ても巨大な『ダイオウサソリ』にしか見えないのは残念なところかなぁ?
そこは、もっとキチンと『ウミサソリっぽいフォルム』にして欲しかったですよ。
ちなみに、海上の小屋をモンスターが襲撃するシーンで、床下から『床板を持ち上げながら接近してくるシーン』がなんとなく「トレマーズ」を彷彿(ほうふつ)とさせるので、その辺がタイトルの由来なのかな?
あと『無駄にカッコ良い演出』が得意なブライアン・ユズナ監督らしく、ラストの対決シーンとかはなかなか熱くて良い感じなのですが、モンスターがゴツい見てくれの割に矢鱈と弱すぎるのは、ちょっと気になったところかも…
総評としましては、良くも悪くも『ごく普通の低予算モンスターホラー映画』という感じの作品ですかねぇ…
それほど酷いという訳でも無いのですが、特にコレという程の見どころも無い感じなので、可も不可も無いような微妙な映画ってのが素直な感想です。
まあ低予算ながらも手堅い作りではありますし、『ウミサソリ』というレアな作品のモチーフがどうしても気になるようであれば、とりあえずチェックしてみても良い程度の作品かもしれません。