■■■「ブラックリスト」■■■
(60点/サスペンス)
IT企業家であるクリスは、ユーザがネット投票によって悪徳政治家や経営者のランキング付けを行うことで、世間の不正を暴き腐敗を防止する事を目的とした「リスト」というサイトを立ち上げる。
果たしてサイトは世間で話題を呼び大評判となるが、同時に彼は権力者の息のかかった経済界や大手企業から様々な嫌がらせを受ける事となってしまう。
それでも正義のためにサイトの運営を続けようとするクリスだったが、彼の「リスト」で1位になった人間が何者かに次々と暗殺されるという事件が発生。
犯人を名乗る謎の中年男性からコンタクトを受けたクリスは、彼に連続殺人をやめさせようとするが…
悪徳政治家や経営者のランキング付けを行うサイトを開設し世直しをしようとした一人の男が、思いがけない大きなトラブルへと巻き込まれていくという、サスペンススリラー映画。
悪徳政治家や経営者をランク付けするという『現実にこういうサイトがあったら面白いんじゃないかな?』とは思えるアイデアではありますが、『現実にこんなサイトがあっても権力者によって票の操作とかが行わて機能しないんじゃないの?』という気もするので、まあフィクションだから成り立つ設定という感じのお話ではありますね。
お話としましては、「リスト」のサイトの運営を行う主人公が権力者の様々な妨害に会いながらもサイトの運営を続けていくも、殺人鬼の登場によって思いがけないトラブルに巻き込まれるというような展開のストーリーなのですが…
序盤は、『サイトを潰そうとする権力者の陰謀』に、『正義のため』と言いながらも死んだ弟の私怨を晴らそうとする主人公の行動、謎の殺人鬼の思惑が重なり合って『全く先の読めない展開』を構築しており非常に面白いです。
…が、中盤辺りからどんどんお話が尻すぼみになっていく感じで、特に終盤は殺人鬼と主人公の一騎討ちみたいな展開になってしまい、どうにもお話のスケールが小粒な感じの話に落ち着いてしまっているのが残念なところ。
序盤のイキオイのままどんどん規模が大きくなっていき、最終的に『世間を揺るがすような派手な展開』になっていくのかと思っていたので、ちょっと肩透かしな感じです。
ドラマとしては小粒なもののサスペンスとして面白いかというと、正直言ってそちらも微妙なところ…
殺人鬼のバックボーンがあまり語られないため行動に今ひとつ一貫性が感じられず、また主人公の行動ににもあまり信念が感じられないため、どちらにも今ひとつ感情移入が出来ずにどうにも盛り上がりに欠けます。
ややネタバレになってしまいますが、殺人鬼も『権力者を証拠も残さずに何人も暗殺できるような人物像か?』と言われるとどうにも疑問で、ぶっちゃけストーリー展開にあまり説得力が無いのがサスペンスとしては辛いところでしょう。
アイデアや設定は物凄く面白いと思いますしオチの落としどころや作品のテーマ性も悪く無いので、こんな小粒な内容にせずにもうちょっと『ガッツリとボリュームのある作品』として描いていれば、非常に良い映画になったのではないかと思うんですけどね…
総評としましては、設定は物凄く面白いし出来もそれなりで悪くは無いのですが、どうにも『設定を昇華しきれていない感じのもったいない作品』といった感じですかねぇ?
同じようなアイデアで、ハリウッド映画的な派手な内容に仕上がってればかなり面白くなったんじゃないかと思うんですけど…
ともあれ別にツマんない訳では無いので、本作の設定とかの部分が気になっているのであればとりあえずチェックしてみても損は無い一本だとは思いますよ。