主君を失い浪人となった浅野家の第一の家臣であった大石内蔵助は、主の乱心が妖怪の仕業だと気付くが叛乱を恐れた吉良によって地下牢に幽閉されてしまう。
1年後になんとか地下牢から解放された大石は、策略によって殺された主君の仇を取り浅野内匠頭の一人娘であるミカ姫を救出する為に、当時の浅野家の家臣たちを集めて立ち上がろうとするが…
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劇場にて「47RONIN」を観てまいりました。
あ、ありのままいま起こった事を話すぜ、俺は「忠臣蔵」のハリウッド版の映画を観に来たつもりだったんだが、映画の開幕5分後にはスクリーンの中で浅野内匠頭が怪獣と戦っていた。
何を言ってるのか分からねぇと思うが…(以下略)
何を言ってるのか分からねぇと思うが…(以下略)
…といった感じで、いやいや最初からトンデモ系のアレンジをされているのは覚悟していたのですが、まさか初っ端から妖怪が跋扈してるような作品だとは思わなかったので、想像以上のハチャメチャっぷりに久々に劇場でポルナレフの気分を味わいましたよ。
ただ、トンデモ設定のインパクトは凄いのですが『映画そのものが面白いか?』と言われると、ぶっちゃけそこは『可も不可も無いレベルかなぁ?』ってところ。
とにかくストーリーがグテグテな上に説得力が皆無で、『浅野内匠頭が妖狐に操られて乱心したせいで切腹する事になる』って展開なのですが、確かにお話を舞台裏から見ている観客は『妖狐の仕業だよね』ってのが良く分かるものの、主人公たちは浅野が乱心したのが『妖狐の仕業』ってのも良く分からないし、妖狐と吉良の繋がりも分かってない筈なのに、何故かイキナリ『主君の仇の吉良を倒す』みたいな展開になってて主人公たちの行動が理不尽すぎ。
テンポが良いのは良いのですが展開が急すぎて説明不足の部分も多いですし、ラストもほぼ原作どおりとはいえ浪士たちの決意とかが分かりづらいので説得力不足で釈然としない印象。
コレって、ハチャメチャと言いつつもベースとなるストーリーはキチンと「忠臣蔵」してるので、日本人には馴染みのある話なので違和感が少ないんでしょうが、「忠臣蔵」を知らない外国人が見たら『なんのこっちゃ?』って感じになるんじゃないかと…
あとキアヌ、真田、浅野、菊池、柴咲と言ったキャラは物凄く良く立っているのですが、各人の見せ場があまり無くて全体的に印象が薄いのは残念なところです。
(特に浅野の吉良(ややこしいな!!)は良い味を出していたのに影が薄すぎなので、もうちょっとクドい悪役キャラでも良かったと思う。)
(特に浅野の吉良(ややこしいな!!)は良い味を出していたのに影が薄すぎなので、もうちょっとクドい悪役キャラでも良かったと思う。)
また中途半端に設定がオマージュされている割には、「松の廊下」のシーンが無かったり『忠臣蔵といえばこのシーンだよね』ってシーンが無かったりするのは、ちょっとモヤっとする部分かなぁ…
ただ、吉良が妖怪にそそのかされてたり、長崎の出島が『どこの世紀末の無法地帯だよ!』というような場所だったり、大石が天狗に伝説の武器を貰いに行ったりというハチャメチャっぷりはかなり笑えるので、純粋に『バカ映画』としては良い味を出してるんですけどね。
総評としましては、ぶっちゃけ『面白いか?』と聞かれると正直に言って『普通』~『微妙』程度な感じの映画ってところなので、娯楽映画としては強くオススメはし辛いのですが…
逆に『ネタ映画』としてツッコミを入れるために観ておきたいというのであれば、なかなかオススメ出来る作品だと思います。
お馬鹿なノリの『勘違いハチャメチャ映画』を期待しているのであれば、観に行く価値は十分ある作品だと思いますので、そういう映画を求めているのであれば是非とも劇場まで行ってツッコミを入れまくってあげてください。