■■■「ザ・エンド」■■■
(50点/サスペンス)
20年前ぶりに旧友たちが再会するパーティに参加する事となったフェリックスは、恋人のエヴァとともに人里離れた山中にある友人の別荘へと向かう事となる。
久方ぶりの再会に旧交を暖める彼らだったが、唐突に夜空が怪しい輝きを放ち、その直後から全ての電気製品が停止してしまうという異常事態が発生。
車も動かず電話も通じない事から、近所の住人の家へと向かうが、食べかけの食事を残したまま姿を消しているところや、道の真ん中に乗り捨てられた車といった、まるで『人間だけが唐突に姿を消した』かのような痕跡を発見する。
異常な事態に険悪なムードになりつつも、何が起こったのかを確かめるために山道を徒歩で街まで向かう事を決意する彼らだったが、彼らの仲間も一人また一人とこの世界から姿を消していくのだった…
ある日、突然『世界中の人間が消失する』という異常事態に遭遇した人々の辿る運命を描いた、スペイン製のパニック系サスペンス映画。
『ある日、突然に人類が消失してしまう』という突飛な設定からもおおよそ想像が付くと思いますが、いわゆる『セカイ系』みたいなテイストの雰囲気映画って感じのお話ですね。
お話としては、主人公たちがそれぞれ過去にトラウマを抱えていたり、互いに『消し去りたい悩み』と抱えていたりと『世界が消える事』に対するそれっぽい理由はあるのですが…
『セカイ系』では良くあるパターンながら、『この世界の彼らに何が起こったのか』は詳しくは語られません。
お話的には、パニックものというよりも『極限状態における人間ドラマ』的な部分がメインといった感じなのですが、そちらもキャラクターの描き込みがそこまで深い訳でもなくて、正直言って微妙な印象。
ただ映画そのものの雰囲気は割と良くて、印象的な映像やシーンは結構出てきますし、観終わった後に独特の視聴感を感じられるような内容ですので、『雰囲気映画』として評価するならば割と秀逸な感じですね。
『忽然と姿を消した街の住人』や『何故か彼らの周りに姿を現し行く手を阻む様々な動物たち』とか、何らかの隠喩を含んでいそうな雰囲気を漂わせる世界観はなかなか良い味を出していると思います。
普通にエンターテイメントとして映画を楽しみたい場合には『ちょっと厳しい内容』といった感じで、途中で何度か挿入されるパニックシーンも物凄く地味ですし、ストーリーも思いっきり投げっぱなしでモヤッとしたまま終わってしまうので、ラストがスッキリしないとダメな人には向いてない作品ではないかと…
特に個人的に不満だったのは、後を引く終わり方は良いのですが『なんとなく分かった気分になれる』ようなオチじゃなくて『なんだか良く分からないまま』のオチなので、観終わった後に何のカタルシスも得られない事かなぁ?
もうちょっと、分かりやすい答えとなる『模範解答的な解釈』あっても良かった気がしますよ…
総評としましては、まあ『雰囲気映画としては悪く無い』のですが、そこまで圧倒的なインパクトがある訳でも無くて、どちらかというと冗長さばかりが目立ってしまう感じの『ちょっと微妙な作品』というのが正直なところです。
雰囲気映画が大好きな人ならば『まあまあオススメできなくも無いレベル』だとは思いますが、積極的に見るべきかと言われるとそれほどでも無い印象。
気になっているのであれば観るのを止める事はしませんが、個人的には『独特のセンスに浸る』よりも『モヤっとした気持ち』の方が強く残ってしまうような映画でしたよ。