NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「V/H/S シンドローム」(55点/オムニバス)

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■■■「V/H/S シンドローム」■■■
(55点/オムニバス)

街の不良グループの4人は、ある日、小遣い稼ぎのために謎の人物に依頼されて一人の老人の家に侵入する事となる。

 しかし侵入した先で、家の住人らしき老人の死体と大量のVHSビデオテープを発見。
 彼らは戸惑いながらも、目的のビデオテープを手に入れるためにテープを一本づつ再生していくが、それらのビデオには恐るべき映像が納められていたのだった…



 デヴィッド・ブルックナーやタイ・ウェストらの若手の6組のホラー監督が競作形式で製作した、POV形式のオムニバスホラー映画。

 『若手のホラー作家』の6人が集まって作ったという事なのですが、ぶっちゃけ自分は「キャビン・フィーバー2」とかを撮ったタイ・ウェストぐらいしか知りませんよ…他のメンツもその筋ではメジャーな人たちなのかしらん?

 中身に関しては、何と言うか『評価の難しい作品』って感じですね。

 ストーリーとしては、一応『とある老人の家に侵入した若者たちが、その家で見つけたVHSテープを再生してみたところ…』みたいな設定はあるのですが、ぶっちゃけストーリーらしいストーリーは無くて『短編形式のPOVホラー映画を集めてみました』って感じの作品。

 しかも全てが超低予算のPOV形式のモキュメンタリー作品なうえにブツ切り的な内容のものばかりなので、『ちょっと出来の良いインディーズの短編ホラーフィルム』を続けざまに見せられてるような印象ですね。

 ちなみに本編の構成は以下のとおり。

                             *

■『TAPE56』
 本作の本編にあたるストーリー。
 とある老人の家に侵入して『謎のVHSテープ』を発見した4人の若者たちの辿る運命を描く…

■『AMATEUR NIGHT』
 ビデオを録画できるメガネを手に入れたクリントらの三人の若者たちは、酒場で女性をナンパしてその様子を撮影しようとする。
 首尾よく女性たちをアパートに連れ込んだ彼らだったが、『好きよ』という言葉をひたすら繰り返す奇妙な少女が、セックスを始めた途端に野獣のように噛み付いて仲間を殺害してしまい…

■『SECOND HONEYMOON』
 アメリカ南部の荒野を車で旅行するサムとステファニーのカップルは、夜中にモーテルの部屋に訪れた若い女性に『車の相乗り』を依頼される。
 彼らは相手の不気味な態度に申し入れを断るが、その夜に何者かが彼らの部屋へと侵入し…

■『TUESDAY THE 17TH』
 とある4人の若者のグループが湖にキャンプに訪れるが、仲間の一人から『この場所で過去に4人の若者が惨殺される事件があった』という事を聞かされる。
 彼らは、彼女に事件のあらましを聞こうとするが、若者たちを襲ったのは『見る事の出来ない殺人鬼』という存在だった…

■『THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGER』
 幼馴染ので恋人同士のエミリーとジェームスは、ビデオチャットでいつものようにやりとりをしていたところ、エミリーの家で『深夜に家の中に何かが居るような物音がする』という訴えを受ける。
 カメラの映像で小さな子供の姿を目撃した彼らは、子供の幽霊の正体を確認しようとするが…

■『10/31/98』
 ハロウィンパーティーに向かう事となった4人の若者たちは、道に迷いつつも会場らしき屋敷に到着する。
 会場にだれも居ない事を奇妙に感じながらも家の中を探索してみたところ、屋根裏部屋で一人の少女を拘束して悪魔召喚の儀式のようなものを行っている集団を発見し…

                             *

 といったような内容なのですが、全ての作品ともにストーリーらしいストーリーはなくて『ショッキングなフッテージ映像の集まり』といった感じ。

 映像そのもののセンスはなかなか良いですし、『カメラに映らない殺人鬼』という題材を用いた『TUESDAY THE 17TH』とか、意味が分からなさ過ぎて不気味な『THE SICK THING THAT HAPPENED TO EMILY WHEN SHE WAS YOUNGER』とか、『10/31/98』の矢鱈とイキオイのあるスピーディな演出など、そこそこに『観るべき要素』はあって割と楽しめる印象。

 ただ、全編が手振れしまくりなのに加えて『古いVHSテープ』という設定なので画質が物凄く悪くて、観てて無駄に疲れてしまうのは辛いところ。

 また全ての作品が『意味不明の投げっぱなしオチ』ばかりなので、途中でちょっと飽きて来てしまいます。
 『アングラのインディーズホラー的なテイスト』を活かしたかったのかもしれませんが、もうちょっと明快で分かりやすい話を間に挟んでも良かったかも?
 正直、2時間連続でこのノリの話を見せられるのは、ちょっとキツかったです。


 総評としましては、色々とインパクトのある映像』を寄せ集めた感じの作品で、『インディーズ系のショートホラーフィルム』とかが好きな人ならば、割と楽しめる感じの作品だと思います。

 逆に言えば『それ以上でも以下でもない』感じの内容ですので、商業レベルにまとまったクオリティのものを期待していると、ちょっと肩透かしを食らわされるかも?

 予告編とかの映像で興味を惹かれたのであれば、あのフッテージ映像が『そのまんま長くなった』ような作品ですので、気になるようならばチェックしておいても損は無いと思いますよ。