■■■「アフターショック」■■■
(60点/パニック)
南米のチリに旅行に訪れたアメリカ人観光客のクリンゴは、地元の2人組みのガイドであるポヨとアリエルの案内で観光を楽しんでいた。
バーで3人の女性たちと仲良くなった彼らは、6人で一緒に旅行をする事となるが、地下のナイトクラブに立ち寄った際に大地震に遭遇。
ナイトクラブの崩落から逃れてなんとか地上へと脱出した彼らだったが、安全な場所へと辿りつこうとする彼らの前に、余震や様々な二次災害に加えて、刑務所の崩壊によって脱獄した凶悪犯たちまでもが脅威として立ち塞がるのだった…
チリで大地震に遭遇した人々を未曾有の自然災害やパニックが襲うという、イーライ・ロス製作・主演によるディザスターパニック映画。
チリの大地震を題材にした人のディザスター(災害)パニックもののサバイバルムービーなのですが、いわゆる『ホントに恐ろしいのは自然災害よりも頭のおかしい人間』というかそんな感じのノリのお話しですね。
とりあえず「ホステル」のイーライ・ロスが製作という事で観る前にある程度の覚悟は決めてから観たのですが、予想通りというか『色々と酷いお話』です。
ディザスター映画という事で、当然ながらある程度の犠牲者が出るのは仕方が無いのですが、なんというか犠牲者の死に方やシチュエーションとかがいちいち酷くて結構どんよりとした気分になれます。
主人公たちも、地震から生き延びたと思ったら今度は脱獄した凶悪犯の集団に襲われてみたり、助けを求めた民間人にまで酷い目に会わされたり、協力してくれた人はロクな死に方をしなかったりと、どうにも気分の悪い展開が多くて『良い意味でも悪い意味でも緊張感があってストレスが溜まる内容』ですね。
個人的にはこういう捻くれた(ひねくれた)感じの展開は嫌いでは無いですし、イーライ・ロス監督のそういうノリを理解している人ならば『いつものイーライ・ロスだなぁ…』と納得できるような話なのですが…
普通にハリウッド製のパニック映画的なノリを期待して本作を観た人が居たら、ちょっと嫌な気分に陥ってしまうかも?
でもまあ映画の出来そのものはそこそこ良く出来ている印象で、パニックものとしても割と迫力がありますし、お話しのテンポもなかなか良くて地震が起こってからの展開はスピーディで退屈しません。
ただ序盤の地震が起こるまでがちょっと冗長でダルいのは、これまた『いつものイーライ・ロスらしい感じ』なのですが、まあ「ホステル」とかに比べれば全然我慢できるレベル。
(っていうか、イーライ・ロス監督の『ダメ人間っぽい主人公たちがダラダラと遊ぶシーン』を無駄に長く撮りたがるクセは何なんだろうか…何かそのシーンで主張したい事があるのか?)
また登場人物にあまり魅力が無いので、道中でピンチに陥っても今ひとつ感情移入が出来ずに、今ひとつ没入感が得られないのは難点かなぁ?
ラストのオチは、個人的には『予想通りの展開』だったのでツッコミは入れませんが、人によっては文句を言いたくなる人も居るかも?
あとヒロインの『赤ちゃんへのトラウマ』は良く意味が分からなかったのですが、何のために取り入れた要素だったんだろうか…
総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『色々と酷いパニックホラー映画』という感じの作品です。
このホラー映画的な『酷い部分』を楽しめる人ならば普通に楽しめる作品だと思いますが、そうでなければ無駄にストレスの溜まる作品になってしまうかも?
もともと『「ホステル」の監督が製作した映画』だという事を理解したうえで、気になるようであればチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。