(55点/スラッシャー)
生まれついて下半身が麻痺するという障碍を持ち車椅子で生活するニカは、ある日、母親宛に差出人不明の荷物として80年代に流行った「グッドガイ人形」という喋る人形の入った小包を受け取る。
しかし、その人形を受け取ってスグに母親が変死するという事件が発生。
更に、遺産相続の話し合いに来ていた姉夫婦までもが次々と変死を遂げていった事から不審なものを感じた彼女は、その人形の出所の情報をネットで調べたところ、過去に恐るべき事件に関わった人形だという事実を知るが…
殺人鬼の魂が乗り移った人形が次々と人間を殺害するという、「チャイルド・プレイ」シリーズの最新作に当たるスラッシャーホラー映画。
ホラーファンの間ではお馴染みの殺人人形である『チャッキー』が登場する、シリーズの5作目だか6作目だかに当たる作品ですね。
前作が出てから10年ぐらい経つので、もはやリニューアル的なノリに近い印象の作品ではありますが、一応、前作までで脚本を担当していた方が監督をしてたりしており、シリーズの正統な新作という扱いのようです。
前作までに嫁さんが出来たり子供が生まれたりと、かなりコメディ寄りになっていた本シリーズですが、本作では設定がかなりシリアス寄りに戻されており、シリーズの仕切り直し的な印象ですね。
(というか本シリーズもそろそろリメイクブームに乗っかって、1作目がリメイクされても良い時期かも?)
ただ、過去の作品が全て無かった事になったという訳では無い模様。
お話としては『とある一家に差出人不明の「グッドガイ人形」が届けられて、その一家で謎の連続変死事件が起こる』というお約束の展開なのですが、一家に潜入したチャッキーの目的が『1作目以前の怨恨』だったりして、最近の流行りの『シリーズの前日談』的な感じの内容になっています。
展開的には『割とテンポが良く緊張感のあるスラッシャーホラー』といった感じで、グテグテになっていたシリーズの新作としては及第点といった感じ。
ただ、全体的に演出が地味でチャッキーの襲撃シーンに今ひとつ迫力が無くて、ちょっと盛り上がりに欠けるのは残念なところ。
また今までのシリーズと比べると、チャッキーの犠牲者の殺害方法とかが面白味に欠けるのも惜しい感じではありますが、ストーリーが『シリアス寄り』な都合上あまり変なノリを入れるのも考え物なので悩ましい部分ではあるでしょう。
逆に今までのシリーズに比べてかなり良くなった部分としては、CG技術の進歩のおかげでチャッキーの顔が矢鱈とリアルになり、表情が物凄く豊かになったところですね。
今までのシリーズだと『凶悪犯の顔よりも無表情な時の方が怖い』なんて言われてましたが、本作のチャッキーはかなり凶悪そうな面構えになっており本気でリアルすぎて怖い感じなので、コレならば連続殺人鬼の霊ってのも納得という感じ。
あと、お話しに微妙にシリーズの1作目の要素やら旧作で登場したキャラクターが絡んできているのも、なかなかファンサービスとしてはツボを突いていると思います。
特にラストの展開は、シリーズを好きな人ならばニヤリとさせられる事でしょう。
総評としましては、佳作とまでは行かないまでも『「チャイルド・プレイ」シリーズのファンの人であれば、普通に楽しめる最新作といった感じの作品』と言えるでしょう。
またシリーズの仕切りなおしとまでは行かないものの、今までのシリーズを観てない人が観てもそれなりに楽しめるような作りにしてあるところも、なかなかに上手い構成だと思います。
シリーズが好きで最新作として気になっているのであればチェックしておいて損は無いタイトルだと思いますし、今までのシリーズがちょっとお笑い方向に走りすぎてて辟易としているという人にも『久々のシリアス路線』という事でそこそこオススメできる内容だと思いますよ。