NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「エンダーのゲーム」を観てまいりました。

イメージ 1

 近未来、人類は昆虫型の異性人・フォーミックの襲来により大打撃を受ける、
 なんとかフォーミックを撃退した彼らは、フォーミックからの再襲来に備えるために世界中から天才児を集めて司令官育成教育をするバトル・スクールを開設。

 そんな中、エンダーという一人の少年に天賦の才能を見い出した訓練長官のグラッフ大佐は、彼をバトルスクールへと導き訓練を受けさせるが、彼はバトルスクールの課した課題を次々とクリアしていき、やがて誰も合格者が居ないとされる超高難易度の『戦闘シミュレーション』へと挑む事となるが…

                             *

 劇場にて「エンダーのゲーム」を観てまいりました。

 CMとかでも言われてるようにネタバレ注意の作品なのですが、まあ原作を続編まで読んでるので自分的にはネタバレとかは一切気にならないものの、原作は大好きな小説ですしとりあえず早めに観ておきたかったので鑑賞してきましたよ。

 で、肝心の内容の方ですが…
 原作が大好きな自分としては『うーん、どうなんだ?』ってのが正直な感じの映画ですねぇ。

 『良くあれだけボリュームのある小説を2時間に詰め込んだなぁ…』ってのは素直に感心できるレベルで、原作のニュアンスもそこそこ上手く組み込めているとは思います。

 …がなんというか、やはり圧倒的にボリュームが足りなさ過ぎです。

 前半のエンダーのバトルスクールでの成長の話が、かなりバッサリとカットされており、エンダーが大勢の子供たちのなかで『天才的な指揮官としての才覚を発揮していく部分』とかが殆ど描かれてないため、なんというかストーリーが薄っぺらくて説得力が無くなっている印象。

 後半のシミュレーション戦闘の場面もボリューム不足ですし、エンダーたちの逆境っぷりあまり伝わってこないので、ラストの展開も説得力不足になってしまっています。

 原作はエンダーの逆境っぷりと成長っぷりが丁寧に描かれているからこそ面白い作品で、ラストの展開も盛り上がる筈なのに、その部分が大幅にスポイルされてしまって居るのでどうにも物足りない印象が残ります。

 素直に『バトルスクール編』『シミュレーション戦闘編』の前後編に分けて2本の映画として製作するか、TVドラマシリーズとして1クールぐらいかけてシッカリと描いて欲しかった…

 ただ悪いばかりじゃなくて良い部分もあって、無重力レーニングのシーンをああいう風に映像化するのか』とか、シミュレーション戦闘の艦隊戦のシーンも迫力があって、単純にエンタテイメントとしてはなかなか良く出来ていると思いました。

 でも良く出来ているだけに、どっちもボリューム不足で物足りなくて良い部分であると同時に『不満の原因』になってしまっているのは、なんというかジレンマだなぁ…

 また『内容が薄っぺらくなってしまっている』と言いましたが、ぶっちゃけこの映画って原作を読んでないと『ニュアンスが今ひとつ伝わりきらないシーン』が多い気がします。(エンダーの心理の動きや葛藤を描いたシーンとか…)

 ですので、原作知らずに観たら最後まで『ふーん?』って感じで終わってしまう映画になりそうな気がするのですが、ぶっちゃけ『原作を読まずに映画だけを観た人』の感想はどうなんでしょう?

 あと、ちょっとネタバレになってしまうのですが…

 あのラストの『オチの微妙な改変』は正直『どうなんだ?』って感じですよ。
 まあ、映画としては『キレイな落とし方』ではあると思いますし、描きたい方向性も分からなくは無いのですが…


 総評としましては、原作読んでる人にも映画で初見の人にもそれぞれ別の意味で『物足りない映画』って感じの作品な気がしますよ。

 単純にエンタテイメントとして観ても、キャラの描きこみ不足やスペクタクルシーンのボリューム不足で物足りなさが残りそうですし、原作を読んでたら逆に説明不足や描写不足の部分にもどかしさを感じるような印象。

 ただまあ、お金がかかってるだけあって『そこそこシッカリ作られている作品』ですし決してツマんない訳でも無いですので、少年・少女が主人公のSFアクションものとかに興味があるのであれば、とりあえずチェックしておいても良いレベルの一本ではあると思いますよ。

 原作が好きな人は『ああ、アレがああいうふうに映像化されるのね』って部分を楽しみに鑑賞すれば、まあ問題ないんじゃないかと…