■■■「シャークネード」■■■
(55点/生物パニック)
カリフォルニアのビーチを巨大なハリケーンが襲来。
ハリケーンの影響で北上したサメの大群がビーチを襲撃するという事件が発生する。
サメの大群は更に洪水や高波に乗って街の中まで侵入、ロスの街中のいたるところがサメで溢れかえるという異常事態が発生する。
ビーチでレストランの経営を行うサーファーのフィンは、街中から逃げ遅れた家族を救うために、店員のノヴァらと共にサメが徘徊する街を強行突破しようとするが、サメの大群を海から巻き上げて大量に含んだ巨大な竜巻が建物を破壊しながら彼らの元へと接近しつつあったのだった…
ハリケーンの影響でロスの街中に人食いザメの大群が溢れかえり、更にはサメの大群を含んだ竜巻が街を襲うという、生物パニック映画。
パッケージやタイトルを見た瞬間に既に『そんなアホな!!』としか言いようが無いような感じの映画ですが、中身の方も無茶苦茶すぎる設定で『そんなアホな!!』としか言いようが無いようなお話ですね。(笑)
…が、そんな物凄いトンデモ設定の割には思った以上にキチンと作られてて、意外と普通に楽しめる作品です。
パクリ映画でお馴染みのASYLUMの作品なのですが、今回はオリジナル路線ですし珍しく『良いASYLUM映画』という感じの内容。
お話の流れとしては『ハリケーンを逃れるために北上してきたサメの群れが洪水で街中に侵入してくる』という感じの設定なのですが、『大波やら突風やらが押し寄せてくるたびに人食いザメが一緒にスッ飛んできて人間に襲い掛かる』という展開はシュール過ぎてなかなか笑わせてくれます。
いやまあ大波や竜巻で魚が飛ばされてくる事はあるかもしれませんが、それにしても何で大波の度に窓やらマンホールから人食いザメばっかり飛び出してきて、その辺に居る人にクリーンヒットするんだよって言う無茶苦茶な展開は、馬鹿馬鹿しすぎて逆に清々(すがすが)しさを感じるレベル。(笑)
ただシュールで無茶苦茶な設定の割には、ストーリーやパニック描写は意外とシッカリしてる感じで、冒頭からそれなりのスペクタクルシーン(まあ低予算ですけど)とかが準備されてたり、随所にテンポ良くサメの襲撃シーンやパニックシーンが用意されてたりと、全体的になかなか見どころや緊張感があって良い感じ。
サメは殆どがCG(まあ、実際のサメを空を飛ばすのは無理があるので…)なのですが、イキオイがあってチラっとしてサメが写らないような襲撃シーンがメインな事や、シーンによっては実物のサメが使われてたりと、見せ方がなかなか上手くてそこまで違和感を感じない作りになってるのは上手いです。
また主要登場人物のキャラなんかもキチンと立ってますし、主人公たちがサメの群れに立ち向かっていく動機の見せ方もあまり無理が無いのは良い感じでしょう。
最終的に『竜巻とサメが一緒にやってくる』ので、単純に『建物の上とか山の上に逃げてれば良いだろ』って展開にならない辺りが、なかなか良く考えて作られてますね。
まあ冷静に考えればツッコミどころが満載のシーンが多くて、ラストの展開とか無理がありすぎな部分は多いのですが、何かそういう細かいツッコミがバカバカしくなるぐらいにイキオイで押し切ってるような感じの作品ですので、細かい事を気にしなければ意外と楽しめる内容でしたよ。
ただ中盤の息子と合流するシーンが、ちょっとだけ冗長でテンポが悪く感じたのは唯一残念だったところかなぁ?
あと冒頭で謎の東洋人(?)と取引してた漁師は、何かの伏線なのかと思ったら後で全く設定が回収されなかったのですが、奴が今回の事件の原因を作ってると言う認識で良いんでしょうか?
他の要素がだいたい回収されてるので、ちょっと気になりましたよ…
総評としましては、トンデモ設定のバカ映画ではありますが逆に『トンデモ設定が大好きな人であれば普通に楽しめる良作パニック映画』って感じの作品ですね。
木曜洋画劇場とかで放映されれば好評を博しそうな感じの映画なので、その手のB級ノリが大好きな人であれば観ておいても損は無い一本だと言えるでしょう。
なんと言うか、良い意味でアルバトロス映画らしい作品だったので、そういう『ネタ映画』を求めているのであれば、そこそこオススメできるB級映画だと思いますよ。