NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「エビデンス-全滅-」(50点/サスペンス)

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■■■「エビデンス-全滅-」■■■
(50点/サスペンス)

 2012年7月、観光客らを乗せてLAからロスへと向かう長距離バスがネバダ州の砂漠横転事故を起こす。

 事故を生き延びた乗客たちは、徒歩で砂漠を歩き廃墟と化した自動車工場へと辿り着くが、その場所で何者かによって虐殺されてしまう。

 刑事のアレックスとリースらは、この奇妙な事件の現場で証拠物件(エビデンス)として回収された『乗客らの持っていたビデオカメラや携帯電話の映像』を元に、なんとかして事件の真相を暴き犯人を突き止めようと映像解析を開始。

 しかし、その映像には溶接マスクを付けて巨大なガスバーナーを持ち、乗客たちを生きたまま焼き殺す不気味な怪人の姿が映っていたのだった…



 事故にあった長距離バスの乗客たちが偶然辿り着いた廃工場で『溶接マスクを付けた正体不明の怪人』に襲われるという、POV形式のサスペンスホラー映画。

 最近の流行の主観視点映像のいわゆる『POVタイプのサスペンス映画』なのですが、本作の『警察が殺人事件の証拠物件のフィルムを分析しながら事件の謎を追っていく』って設定は、フッテージスタイルの映像を続けて見せられるのに違和感が無くてなかなか上手い設定で良い感じですね。

 ただ設定は面白いのですが、本編の方はというと割と普通というか、ちょっと雑な作りのサスペンスホラーといった感じ。

 お話としては、『人里離れた砂漠で事故にあったバスの乗客たちが、辿り着いた廃向上で正体不明の殺人鬼に襲われる』という、まあスラッシャーホラーにありがちな感じのお話なのですが…

 一応、単なるスラッシャーホラーじゃなくてサスペンス的な要素もあって、序盤にちょっとミスリードするような展開とかもあったりと割とプロットにも凝っているのは良い感じです。
 ただプロットに凝っている割には人物描写が雑で、主要登場人物のキャラクターが全体的に影が薄くて印象に残らないため、ストーリーが今ひとつ頭に入ってこないのは残念なところ。

 また『警察が謎解きしていくシーン』は割と面白いのですが、主人公たちが取っているハンディカムの映像が手ブレしすぎ&ゴチャゴチャしすぎで、何が起こっているのか分かりづらく、ピンチに陥っている主人公たちに今ひとつ感情移入が出来ずに、本編の方が今ひとつ盛り上がりません。

 殺人鬼の襲撃シーンも、殺される相手がチラッとしか写らないという『イメージ映像』みたいな状態で、一応、『バーナーで四肢を切断する』とかって残酷な殺害方法をしてるらしいのですが、肝心のシーンが殆ど写らないので実感が沸かずにどうにもインパクトが弱い…

 ぶっちゃけ、スラッシャーホラーとしては微妙としか言いようが無い感じです。

 でもラストでちょっと意外な方向に話が進んで、殺人鬼の正体や動機が明かされて『サスペンスとしての謎解き』をキチンとやってくれるのは良い感じですね。

 ただいわゆる『叙述トリック』を使った謎解きで、ちょっとズルい印象も受けるような内容なので、人によっては微妙に納得いかない気分になってしまうかも?
 個人的にも、『意外性はあるんだけど、ちょっと唐突過ぎるかな?』という気分にはなりましたし…


 総評としましては、いわゆるPOV形式のスラッシャーホラーとして観ると『物足りないかなぁ?』って感じの内容なのですが、サスペンスとして観るならば『まあまあ観れるレベルかな?』って感じの作品ですね。

 まあ低予算映画ではありますがピンポイントで映像にお金がかかってたりとそこまで安っぽさを感じさせない作りですし、POVタイプのサスペンス映画とかが好きならばそれなりに楽しめる一本だと思いますよ。

 ただ、最近のPOVって『画面をあまり揺らさない方向に調節されてる』ものが多いのですが、本作は画面の揺れが相当酷いので画面酔いしやすいタイプの人は注意が必要かもしれません。