■■■「死霊館」■■■
(60点/オカルト)
1971年、ロジャーとキャロリンの夫妻と5人の娘たちの家族は、ロードアイランド州ハリスヴィルの古びた一軒家に引っ越してくる事となる。
しかし、引っ越してきた直後に愛犬が死亡し、妻の体のあちこちに謎の痣ができたり、家中の時計が3時7分を指して止まったり、家のいたるところから死臭がしたりという奇妙な現象に遭遇。
更には、深夜に奇妙な物音や声が聞こえたり、娘たちが不気味な少女の姿を目撃したり、妻が姿の見えない何者かによって地下室に突き落とされたりする事件が発生した事から、この家に自分たち以外の『何か』が存在するのではないかと考え、心霊現象の研究家でゴーストハンターとして有名なウォーレン夫妻に相談する事となるが…
とある曰く付きの古びた一軒家に引っ越してきた家族に次々と怪奇現象が襲い掛かるという、オカルトホラー映画。
「ソウ」で有名なジェームズ・ワン監督の新作オカルト映画ですが、「インシディアス」と言い本作といい最近はオカルトホラー系に凝っているのでしょうかね…
ただ「インシディアス」に続いて、本作もなかなか良く出来たオカルトホラー作品と言った感じで、個人的には「インシディアス」よりもコチラの方が好きかも?
映画の方は、非常にオーソドックスなタイプの幽霊屋敷ものオカルトホラー映画といった感じの内容で『過去に魔女伝説のある曰くつきの一軒家に何も知らずに引っ越してきてしまった家族を超常現象が襲う』というような感じのお話です。
オカルトホラーとしての演出が非常に丁寧で、序盤のなんとも言えない不気味な雰囲気の出し方や、怪奇現象を小出しにして怖がらせつつ謎解きを進めていくという展開も、なかなか良く出来ており悪く無い印象。
ジワジワと来る感じの怖さの演出を多様しており、見ていると『少しづつ不気味さや怖さが蓄積されていくような展開』はなかなか秀逸で、ショッカー系の『音と映像でビックリさせるような演出』を殆ど使ってないのも好感触。
オーソドックスなオカルトホラー演出の割には、お話のテンポが良くて途中で退屈しないのも良い感じです。
また序盤の割と地味目な展開と比べて、終盤は割と派手な展開が準備されておりそこそこ盛り上がる構成になっているのも、なかなか上手い。
ホントにオカルトホラーの教本に従って作ったような、模範的な作りの作品と言えるでしょう。
ただ演出やらテンポの良さやらは文句は無いのですが、ストーリーに関してはちょっと説明不足でグテグテ感がただよってしまう内容なのが惜しいところ。
家に隠された秘密も結局はハッキリと明かされないままですし、幽霊もいっぱい出てくる割には『魔女の霊』以外は存在意義が殆ど無いですし、心霊研究家の奥さんと娘の関係とか思わせぶりに前振りがあった割には最後まで何も無いままですし、なんというか消化不良な部分が多い印象。
ラストも物凄く盛り上がった割には『えっ、コレで終わりなの?』ってぐらいアッサリしてて拍子抜けな感じだったので、もうちょっとシッカリとオチを描いてくれた方がスッキリしたかなぁ?
ホラーとしては長めの2時間弱の尺がある割には、妙に投げっぱなしな要素が多いので、欲張って色んな要素を詰め込み過ぎたんじゃないかと…
終盤がちょっとグテグテ気味なのと説明不足の要素が多いせいで観終わった後に『散漫な印象』を受けてしまう映画になってしまっているのが、どうにも惜しかったです。
総評としましては、ごく普通に割と面白いと感じるレベルの『なかなか良く出来たオカルトホラー映画』といった感じの作品です。
ただ『秀作』といったレベルではあるのですが、本作ならではといった独特の雰囲気やインパクトといったものはあまりありませんので、ちょっとパンチに欠ける部分もあるのは残念なところかな?
(そういう意味では「インシディアス」の方が個性的で面白かったかも?)
まあ、いわゆる『幽霊屋敷もの』のオカルトホラー映画が好きな人であれば間違いなく楽しめる作品だと思いますので、その手の映画が好きであればチェックしておいても損はない一本だと言えるでしょう。