NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マニアック(2012年版)」(60点/サスペンス)

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■■■「マニアック(2012年版)」■■■
(60点/サスペンス)

 死んだ母親の影響で心にトラウマを抱えマネキンしか愛する事の出来なくなったマネキン修理士のフランクは、若い女性を殺しては頭皮を剥ぎ取り、その頭皮をマネキンに取り付けるという猟奇殺人を繰り返していた。

 しかしそんなある日、マネキンを専門に撮影するアーティストであるアンナに出会った彼は、同じマネキンを愛するものどうしとして彼女に心を開いていくが…



 トラウマのせいでマネキンしか愛せなくなり猟奇殺人を繰り返す男のたどる運命を描いた、サイコサスペンス映画。

 「ハイテンション」や「ピラニア3D」のアレクサンドル・アジャ製作・脚本による1981年の同名の映画のリメイク作品なのですが、大昔にこんな感じのストーリーと設定の映画を観た事があるような無いような…ちょっと記憶があいまいです。

 ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッドが主演で殺人鬼を演じているのですが、この人って別の映画でも殺人鬼を演じていたような気がするのですが、何かあの気弱で病的な感じがサイコっぽい印象を与えるせいでしょうかね?

 お話は、いわゆる猟奇殺人もののスラッシャーホラーなのですが、最初から最後までほぼずっとPOVのような主人公の主観視点でお話が展開されるという演出が、ちょっと変わった雰囲気を作り出している作品です。

 単純なPOVという訳じゃなくて、主人公が見る幻覚とかも主観視点のまま表示されており、徹頭徹尾『主人公の視点を視聴者と同一化』する事によって犯人との独特の一体感を味あわせる演出ってのは、なかなか面白いですね。

 割と頻繁に『主人公が鏡で自分の顔を見つめるシーン』があるのも、主人公が客観と主観を切り替えてるっぽくて何だか印象的です。

 ストーリーとしてはサスペンス的な要素もあるのですがアクマで主人公の視点から物語が描かれているため、いわゆる普通のサスペンス的な『怖さ』はあまり感じられません。

 ただ逆に殺人鬼としての主観に立つ事で、理不尽な価値観や薄気味悪さのようなものはよく表現されていてなかなか面白いですね。
 この辺は視聴者が『主人公の視点にどれだけ染まれるか』によって評価の分かれそうな印象。

 個人的には独特で面白い演出の作品だとは思うのですが、サイコ殺人鬼の目線でお話が描かれているため終始『淡々とした展開』で物語が進んで行き、いまひとつ緊迫したシーンとかが無くて全体的に盛り上がりに欠ける印象があるのは残念な部分かも?

 またお話の展開も『救いの無い結末』に向かう事が約束されてるような設定と流れなので、ちょっと観る人を選ぶタイプの作品かなぁ…

 あと主人公の『トラウマを抱えた心の葛藤や妄想』は良くわかったのですが、マネキンだけを愛している偏執的な感じはあまり受けなかったので、その辺はもうちょっとフォローがあっても良かったかも?


 総評としましては、ちょっと個性的なテイストながらも『そこそこ良くできたサイコサスペンス映画』といった感じの作品です。

 本作最大の個性である『最初から最後まで殺人鬼の視点でお話が描かれる』という独特の演出が気になるのであれば、とりあえずチェックしてみても損は無い一本だと言えるでしょう。

 強くオススメする程のインパクトは無いですが、なかなか個性的でちょっと面白い作品だと思いました。