NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ロード・オブ・セイラム」(55点/オカルト)

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■■■「ロード・オブ・セイラム」■■■
(55点/オカルト)

 1692年のアメリカのセイラムの町で、魔術を使い悪魔召喚の儀式を行ったという罪で『ロード・オブ・セイラム』と名乗る7人の女性が、ジョン・ホーソーン牧師魔女裁判にかけられて処刑される。

 そして現代。
 『セイラムロック』というラジオの音楽番組でDJを務めるハイジは、ある日、『ザ・ロード』と名乗る何者かからレコード受け取るが、それを再生して以降、魔女や悪魔の現れる奇妙な悪夢と幻覚に悩まされるようになっていく…

 たまたま彼女のラジオ番組に出演していたオカルト研究家のフランシスは、『ザ・ロード』の曲に興味を持ち調査していくうちに、ハイジの先祖にまつわる意外な事実へとたどり着くが…



 過去に魔女裁判が行われたセイラムの町を舞台に魔女裁判に関わった人間の子孫が恐るべき恐怖に巻き込まれていくという、オカルトホラー映画。

 先日の「死霊館」の続いてまた『セイラム魔女裁判』ネタの作品ですが、何かこういう流行でもあるんでしょうか?

 ハードロックのミュージシャンでもあるロブ・ゾンビの映画監督としての最新作ですが、「マーダー・ライド・ショー」や「ハロウィン」シリーズの映画化ではなかなかの手腕を発揮しており、監督としてもスッカリこなれてきた印象だったのですが、最新作の本作に関しては『うーん?』という感じ…

 ブッ飛んだ感じの不気味なセンスや演出やらは悪く無いのですが、何というか
趣味に走りすぎて『何だか良く分からない映画』になってしまった印象です。

 主人公が見る恐怖映像や幻覚やらの映像のセンスは非常に良くて、魔女の婆さんたちの悪魔召還の儀式がホンッットに気持ち悪く描かれてたり、得体の知れない不気味さを感じさせる悪魔の姿やサイケデリックな音楽PVのような独特のテイストも良い感じ。

 ヘビーメタル的な不協和音の音楽と魔術を絡めるというセンスもいかにもアーティストらしく、その音楽もホントに悪魔が出てきそうな感じで良い味を出しています。
 (でも、この悪魔の『レコード』の要素はもうちょっと掘り下げがあっても良かったかも?)

 ただ、全体的にセンスが突き抜けすぎている印象を受ける部分もあり、特に終盤の映像とかシュールすぎて怖いんだか笑えるんだか分からなくなってしまっている印象を受けるのは難点かも…

 また映像センスは非常に良いのですが、お話そのものの方はちょっと微妙な内容という印象。

 主人公と『サ・ロード』とセイラム魔女との関係の謎解きがメインとしてストーリーが進行していくのですが、主人公はアクマで受身の態勢で自分で何らかの行動を起こす訳では無いため、知らないところで勝手に物語が進んでいる感じで何だか置いてきぼり感があります。

 ストーリーの進行も遅めで中盤に山場となるようなシーンが無いため、盛り上がるまでの展開がちょっとダラダラしすぎな印象も…

 終盤の展開はそこそこ面白いのですが、ラストも唐突過ぎて何がなにやらといった感じですし、ロブ・ゾンビ監督もオリジナル作品という事でセンスを押し出したかったのかもしれませんが、ここまでトンガった話じゃなくてもうちょっと分かりやすいオーソドックスな話の方が良かったんじゃないかなぁ?


 総評としましては、映像センスとか良い部分はあるのですが純粋にオカルトホラーとしてみると『観るべき部分はあるもののいま一歩な作品』といった感じの一本でしょう。

 まあ悪い作品ではありませんので、予告とかを観てサイケデリックで不気味な映像や映像センスに惹かれるものがあるのでしたら、とりあえずチェックしておいても良いレベルだと思いますよ。

 ホラー映画と音楽PV的な映像のハイブリッドといった感じの演出を含めて、ある意味で面白い作品ではありました。