（５５点／オカルト）
エイリアンにアブダクトされたという人達に後退催眠をかけて調査を行う大学教授のピソ博士は、エイリアンが人間を誘拐するのは『特殊な装置を用いて人体を介して魂のエネルギーを引き出すため』だという持論を展開し、研究を続けていた。
そんなある日、彼は『自分も宇宙人に拉致されたのではないか』と名乗り出るサトゥルニアという不思議な少女と出会い、彼女に後退催眠を施したところ『ウルのヘクサボル』と名乗る強力な存在が出現し、彼女の意識を支配してしまう。
その存在が古代シュメール王朝に由来し、また彼女の両親が悪魔崇拝の一族だと知ったピソ博士は、カトリック司祭の仲介によりプラトン神父に悪魔祓いの儀式を依頼する。
しかし、両親が裏社会と財界の超大物である彼女の身柄を狙った各国のエージェントが彼女を狙って動き始めた事により、事態は混迷を極めていくのだった…
エイリアンにアブダクトされた人々を調査していた大学教授が少女に取り憑いた『強大な存在』を目覚めさせてしまい、その存在と対峙するという、イタリア製のＳＦ風味のオカルトホラー映画。
タイトルだけ見ると『どんなバカ映画なのか？』と思うのですが、実際の中身の方は意外とマジメにシッカリと作られたオカルトホラー映画です。
というか『エイリアンとエクソシストが何の対決をするんだよ、お互いに接点ないだろ！？』とツッコミを入れたくなるようなタイトルなのですが…
エイリアンが人間を誘拐するのは『高次存在であるエイリアンが人間から「魂」のエネルギーを引き出すインターフェースとして利用するため』で、実は『古代から存在する悪魔の正体はエイリアンだった』というような感じの設定がなされており、その人間に寄生したエイリアンの精神を追い出すのが『悪魔祓い』の儀式という感じで、なんとなく納得するようなお話になっております。
とまあかなりトンデモ風味な設定なのですが、そんな設定の割にはお話の方は大真面目な内容で全体的にかなりシリアス。
演出とか映像とかもかなり力が入っており、エイリアンにアブダクトされた被験者が退行催眠で過去を思い出すシーンの映像とか、かなり不気味でホントに恐ろしいです。
ストーリーも意外と凝った構成になっており、ヒロインに取り憑いた悪魔の謎に迫っていく『謎解きパート』なんかはなかなか面白いですし、裏社会の超大物のであるヒロインの身柄を巡って各国のエージェントの抗争やアクションシーンが描かれたりと、先の読めない展開もなかなか良い感じ。
とてもこんなトンチキな感じのタイトルからは想像が出来ないような、シリアスなストーリーが展開されます。
ただ雰囲気もストーリーも『凝っている』のは良いのですが、どうにもお話がゴチャゴチャしすぎてて分かり難いのは困りもの。
登場人物や組織が矢鱈と大量に出てくるために人間関係が難解で、またシーンの繋がりも分かりづらくて、メインのストーリーはともかく『ヒロインを巡るサイドストーリー的な要素』が、自分には途中で良く分からなくなってしまいましたよ。
もうちょっと主要登場人物に濃いキャラ付けをするか、ここまでゴチャゴチャした設定にせずに『分かりやすいストーリー展開』に徹しても良かったんじゃないかと思います。
２時間弱と尺も結構長めですし、余分な要素を削って簡潔にまとまってた方が観やすかったんじゃないかと…
あと『エイリアンとエクソシストが対決するシーン』って、本編のなかのほんの１シーンでしか無くて内容とタイトルが著しく合って無い感じなので、『もうちょっとマシなタイトルは付ける事はできなかったのか…』とツッコミを入れたくなったのは自分だけでしょうか？
総評としましては、タイトルがアレな割に『意外とシッカリと作られたＳＦサスペンスホラー映画』といった感じの一本ですね。
演出や映像センスなど見所もそこそこあるので、ＳＦ＋オカルトものというちょっと変わったジャンルが気になるならばチェックしておいても損は無いでしょう。
逆にタイトルから『トンデモホラー映画系の作品』を期待していた場合は、あまりにマジメな内容に面食らってしまうかもしれませんので、そういう方面を期待している場合は注意が必要な作品かもしれません。
