NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ヒューマン・レース」(65点/サスペンス:結構オススメ)

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■■■「ヒューマン・レース」■■■
(65点/サスペンス:結構オススメ)

 戦場で九死に一生を得て障碍者の養護施設で働くジャスティンとエディーの2人は、ある日、突然に『白い光』に包まれたかと思うと見知らぬ80人の老若男女と共に見たことも無い場所に立たされている事に気付く。

 それと同時に彼らの頭の中に「競走を拒めば命はない」「コースを外れても命はない」「2周遅れても命はない」、「生き残れるのは、ただ1人」という謎のメッセージが響き渡り、その言葉通りに従わない人間は次々に頭が爆発して死んでしまうという異常事態が発生。

 混乱し恐怖に駆られた人々は、理由も分からないままに理不尽な死のレースを開始するものの、ジャスティンとエディーの2人はなんとかしてみんなを救う手立てが無いかと考えるが…



 見も知らぬ80人の男女たちが唐突に『死のレース』に参加させられる事になるという、シチュエーションスリラー映画。

 いわゆる「CUBE」とかみたいな『理不尽系のサスペンス映画』といった内容の作品で、『犯人の目的と正体は?』といった事や『主人公たちはこの状況から生き延びる事ができるのか?』という感じの展開のお話ではあるのですが…

 『光に包まれて気が付いたらこの場所に居た』という唐突な展開やら『ルールに従わない人間は頭が爆発して死んでしまう』というムチャクチャな設定から、いわゆる普通の謎解き系サスペンスでは無い事は容易に想像が付くと思います。

 タイトルも『競争』のRACEと『人種』のRACEをかけた感じのものになってますし、『極限のシチュエーションに置かれた様々な人々のエゴや人間模様』を描いた、人間ドラマに焦点を当てた作品といったところですね

 この『80名もの登場人物が唐突にレースに参加させられる』という設定の割には、主要キャラクターがグテグテにならずに描写されているのは、なかなか良い部分でしょう。
 (まあ『見えないところで勝手に死んでる』ようなモブも多いので、実際に本編に関わってくるのは20人ぐらいなんですけど…)

 これだけの登場人物が居ながら、主要登場人物の個性がシッカリと描かれており分かりやすいドラマとして成立しているのは非常に上手いです。

 実際の内容の方は、『怪我や病気でまともに走れないような人を見かけた際に助けようとするもの』が居たり、逆に『他人を蹴落として自分一人だけでも生き延びようとするもの』が居たりとか様々なシチュエーションが描かれており、人間ドラマが展開していく感じ。

 レースが進んで死者が増えていくたびに、『自暴自棄になるもの』や『他の連中を殺害して最後の一人になろうとするもの』とかが現れたりと、極限状態に追い込まれた事で徐々にエゴを剥き出しにしていく参加者たちの様子が克明に描かれているのはなかなか怖くて面白いですね。

 シュチュエーションとして、ほぼ最初から最後まで『参加者たちがひたすら走って競争をしている』という情況のため作品のテンポ自体は非常に良いのですが、いかんせん市街地みたいなコースをひたすら周回しているだけなので、ちょっと変化が乏しくて面白味に欠ける部分があるのは残念なところ。
 コースやトラップが動的に変化するとか、もうちょっとシチュエーションに何らかのバリエーションがあっても良かったかも?

 また序盤の唐突っぷりから『マトモなオチが付かない』というのは容易に想像が付くのですが、中盤で『主催者』っぽい存在を匂わせないような展開の方が色んなオチが予想できて良かったんじゃないかなぁ?
 実際にラストのオチもかなり唐突で『このオチは無理に描く必要があったのか?』とツッコミを入れたくなるようなレベルなのも、個人的にはちょっと残念なところでした。


 総評としましては、ちょっと変り種ながらも『なかなか良くできたシチュエーションスリラー映画』といった感じの作品です。

 キャラクターの描写がシッカリしており、また非常にスピード感もあって面白い作品でしたので、そういう理不尽系のサスペンスが好きな人であれば観ておいて損は無い一本だと思いますよ。

 パッケージだけ見ると微妙にSFっぽい印象も受けますが、あんまりそういう要素は濃くないですので、そっち方面に期待してる人には注意が必要かも?