■■■「THE LOOP ザ・ループ ~永遠の夏休み~」■■■
(35点/サスペンス)
クレアらの大学生8人は、夏休みを利用して森の中にある友達の別荘へと遊びに行くこととなる。
しかし、道中の夜道で人を避けようとした拍子に軽い事故を起こしてしまい森の中で車が故障。
残りの別荘までの道を歩くことになってしまう。
無人の別荘になんとか辿り着いた彼らは、友人が居ない事を不審に思いつつもパーティを楽しむが、翌日に近くの廃鉱に探検に入ったTJとレックスが坑道の奥で自分たちの死体らしきものを発見。
最初はタチの悪いイタズラだと考えるが、坑道に残された『これは1回目だ』とか『悪循環を断て』という謎のメッセージに、霊感の強いローズが奇妙な幻覚を見たりという現象が相次いだ事から、何か異常な事態が発生しているのでは無いかと考えるようになり…
時間のループする謎の現象に巻き込まれた若者たちが悪循環による『死の連鎖』から逃れようとするという、SF風味のサスペンスホラー映画。
いわゆる『時間ループもの』のサスペンスホラーなのですが、ぶっちゃけた感想を言ってしまうと『うーん、これは…』という感じの作品ですね。
なんというか『時間がループしている』と言う特性が上手く活かせてないというか、時間がループしてる意味があんまり無いようなお話というか…
ストーリーとしてはサスペンスホラーの体裁を取った物語で、『時間のループ』を起点として『彼らはどうして死ぬ事になってしまったのか?』というような要素の謎解きをメインにお話が進んでいくのですが、その要素に関しては割とシッカリと謎が解明されており『ああ、なるほど!』と納得の行くような展開にはなっています。
確かにその部分の謎解きに関してはそこそこ面白いのですが…うーん……
以下、思いっきりネタバレになる事を覚悟で感想を書いてしまいますが…
****以下ネタバレ含む****
何が困るかって『死の連鎖』の謎はともかく、本編内で『何で彼らの時間がループしているのか』に関する謎が全く解明されていないのですよ。
そのお陰で見終わった後に謎が全て解明されたとしても、どうにもスッキリしない映画になっています。
ラストのオチも『何となく分かったようなオチ』にはなっているのですが、もし『悪循環』の死のループを上手く断ち切ったとして、そのあと彼らの『時間のループ』がどうなってしまうのかが意味不明。
だいたい『1回目のループ』とか『2回目以降』とかって設定が出てきて途中で自分の死体を見つけたりするのですが、じゃあループを繰り返す度に『同じ時間軸内に同じ人物の人数が増えていく』って事なの?
だとするとラストで閉じ込められてた人とか、何人も居る事になっちゃうし死体も回を重ねる毎に増えていかないとおかしい気がするんだけど、流石に色々とツッコミどころがありすぎでは?
なんか、その辺の事をイキオイで誤魔化そうとしてる感じの作りにはなっているのですが、流石にここまで矛盾点が多いと気にならざるを得ませんよ。
あと、問題点が設定のおかしさのツッコミどころだけならまだ良いのですが、8人のキャラクターが今ひとつ描き込み不足で誰が誰やら判然としなくなってしまう事やら、お話の核心である坑道のシーンが矢鱈と薄暗くて何が起こってるのやら分かり難い事やら、お話が盛り上がりだすまでが長すぎてダレてしまうところやら…
諸々のツッコミどころや問題点が多すぎて、なんというか『どうにも残念な作品』って感じの内容でしたよ。
総評としましては、やりたい事は分かるんですが全体的に『なんだかなぁ…』としか言いようが無いような映画という感じです。
時間ループものに『死の連鎖』を組み込もうとしたアイデアは悪く無いとは思うのですが、監督はこの脚本を読んで色々と疑問を感じなかったのでしょうかね?
とりあえず時間ループものが大好きで『気になっている』というのであれば観るのを止めるほどでは無いですが、他にも時間ループものの作品は良作が多いですし、『敢えて本作をオススメするほどの要素は無いかなぁ?』ってのが正直なところでしたよ。