■■■「V/H/S ネクストレベル」■■■
(45点/オムニバス)
失踪した青年を探すよう母親から依頼を受けた私立探偵のラリーと助手のアイーシャは、彼らは調査のために青年が滞在していたという古い一軒家に忍び込む。
家の中で大量のVHSのビデオテープと新しい血痕を見つけた彼らは、青年の残したと思われるPCのメッセージ西が立って、異常なものを感じながらも手がかりを求めてビデオテープの再生をはじめるが、ビデオテープを見る度に彼らを恐るべき異変が襲うのだった…
アダム・ウィンガードらの若手の5組のホラー監督が競作形式で製作した、POV形式の競作オムニバスホラー映画シリーズ第2弾。
前作がそこそこヒットしたのかシリーズの2作目が作られたようですが、ぶっちゃけ前作と同様に『微妙な出来のインディーズ短編ホラーフィルムの寄せ集め』といった以上の内容ではありませんねぇ…
1作目のお陰で予算が確保されたのか、全体的に作品の完成度は上がっている傾向ですが、相変わらずPOV形式の作品の集まりという性質上か全部の作品のブツ切り感が強くて連作形式になってるメリットがあまり感じられないのが微妙なところです。
とりあえず各作品の簡単な感想なんか…
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■『TAPE 49』
本作の本編にあたるストーリー。
失踪した青年の手がかりを求めてとある一軒家に侵入した2人組の探偵が、ビデオテープを再生していくうちに怪異に襲われるという感じの展開なのですが、前作と同様にコレ自体に特にストーリーらしいストーリーはありません。
でも一応、前作とストーリー的には繋がってる感じなのかな?
ストーリーテラー的な『行方不明の青年』を登場させたのは割と良かったと思うので、どうせなら各エピソードに関連性を持たせるような『仕掛け』があっても良いんじゃないかな…と思います。
■『PHASE 1 CLINICAL TRIALS』
事故で左目を失ったヘルマンは、視覚の代用となる人工臓器を取り付ける事となる。
無事に手術が成功し再び目が見えるようになったヘルマンだったが、その夜から血まみれの男性や見たことも無い少女が目の前に現れたりと奇妙な現象が起こるようになり、彼は同じように人工臓器を付けた少女から『人工臓器のせいで普通に人間には見えないものが見えるようになった』という事を知らされるが…
『人工臓器のお陰で霊が見えるようになる』というアイデアは面白いんだけど、映像のインパクトだけでオチも何もない展開なのが微妙な印象。
『人口内耳のおかげで霊の声が聞こえる』というヒロインも、全く役立たずで何をしに登場したのかサッパリ分からないですし、短編とはいえもうちょっとプロットをしっかり作った方が良いんじゃないかなぁ…
というか人工臓器は片目だけなんだから、霊が見えるのが嫌ならば『とりあえず眼帯とかをしておけば良いのでは…』とか思ったのは自分だけですか?
■『A RIDE IN THE PARK』
近所の公園の森の中で自転車を走らせていたマイクは、公園で血まみれで助けを求める女性に出会うが、女性が突然に怪物のようになり噛み付かれるという奇妙な事件に遭遇する。
しかし女性に噛まれた彼も、同じように怪物となって他の人間に噛み付くようになってしまい…
『公園でサイクリングをしていた男性がゾンビ化した女性に噛まれた事で自らもゾンビになってしまい次々と人を襲う』という感じのお話なのですが、ゾンビが主人公で『ゾンビが頭に取り付けたカメラの主観映像』でお話が進んでいくという設定はなかなか面白いです。
銃で撃たれたりバットで殴られたり車で轢かれたりというアクロバティックな展開は、観ていてインパクトがあってなかなか良い感じ。
途中の伏線の張り方やラストの切ない感じのオチもなかなか上手くてまとまりが良く、本作のオムニバスの中では一番面白かったかも?
■『SAFE HAVEN』
「天国の門」という宗教団体を取材する事になったマリクらの4人は、森の中の宗教団体の施設を訪れる。
しかし取材中に突然に神父がスタッフに襲い掛かってきて、更にその直後から信者が集団自殺をしたりお互いに他の信者を殺しあったりするという異常な事態に遭遇。
スタッフの面々は突如として地獄と化した宗教施設から、なんとかして脱出しようとするが…
不気味な宗教団体の施設に取材に訪れたスタッフたちが、宗教団体の奇妙な『儀式』に巻き込まれるというオカルト風味のホラー映画。
『宗教施設の異様な雰囲気』や『唐突な展開』とかは割と面白いのですが、ただでさえ尺が短いんだから序盤の展開はもうちょっとテンポが早くても良いと思う。 スタッフの恋人の浮気の話とか無理に入れる必要があったのかと…
あと本作は主観映像でやるメリットは全く無かったと思うので、普通の映像で撮った方が絶対に良かったんじゃないかなぁ?
作品の設定も面白いしアイデアはなかなか良いので、もうちょっと話を膨らませて長編として撮り直して欲しい感じ。
でも、オチはもうひと捻り欲しかったかな?
■『SLUMBER PARTY ALIEN ABDUCTION』
両親が出かけて子供たちだけで過ごす事となったランディとゲリーは、友達を呼んで深夜までパーティで大騒ぎを始める。
しかしそんな最中、深夜に強烈な謎の光と爆音が彼らを襲い、家の外に『何者か』が訪れていることを知るが…
湖畔の家でパーティを行っていた少年達が、突如として現れたグレイ形エイリアンに襲われるというモンスターホラー映画。
特にコレといったストーリーは無く、少年たちがリトルグレイ(というかラージグレイ?)の集団に追い掛け回されるという本当にソレだけの作品です。
グレイの集団の不気味な映像にインパクトはあるんだけど、ホントにそれ以外に何も無くて淡々とパニック映像を見せられてるだけなので、ちょっと盛り上がりに欠けますね。
あと主観視点な上に深夜でフラッシュ映像を多様しているため、大半のシーンで映像がゴチャゴチャしすぎてて何が起こっているのやらサッパリ分かりませんでした。
映像のインパクトを狙いつつパニックを表現したかったのかもしれませんが、流石にコレでは『何がなにやら…』という感じなので、もうちょっと映像を見やすくした方が良いと思う…
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といった感じの内容でしたが…
総評としましては、まあ全体的に前作よりかは面白い作品が多くて、それなりに見れるレベルにはなっている印象。
ただ前作は目新しさで観れた部分もあったものの、2作目になると流石にちょっとインパクトも薄くなってしまっているので、このレベルの作品を連発されても『何だかなぁ』という感じではありますね。
もし続けて3作目を出す予定があるならば、もうちょっとシリーズのテーマや方向性を明確にして特定ジャンルのファンを狙い撃ちみたいにする作品にして欲しいかなぁ?
相変わらず、インディーズ系のショートホラーフィルム集レベルで『それ以上でも以下でも無い』ような内容なので、『気になる人はお好みで…』といった感じの作品といったところでしょう。