■■■「武器人間」■■■
(65点/モンスター:結構オススメ)
第二次世界大戦の末期。
モスクワ映画大学の卒業生であるディミトリは、上層部の指示によりノビコフ軍曹の指揮する偵察隊の活動を記録する事となる。
ナチスの占領地で仲間の部隊から無線で救援要請を受けた彼らは炭鉱の村へと仲間の救出に向かうが、その場所で大量虐殺の跡と何者かによって掘り荒らされた墓地を発見。
生き残っていた敵兵士から地下に秘密の施設がある事を聞き出した事から、謎の地下施設へと侵入を試みるが、そこに広がっていたのは狂気に捕らわれた博士によって作り出された、死体と武器を組み合わされた改造人間である『武器人間』の闊歩する地獄のような世界だった…
第二次大戦末期にナチスによって作り出された『武器人間』に遭遇した偵察部隊の味わう恐怖を描いた、モンスターホラー映画。
DVDレンタルの方で見かけなかったので『こんな映画出てたっけ?』と気になって調べてみたところ、現在、劇場公開中で且つ『ネット配信のオンラインレンタル』でのみ同時公開されている作品のようです。
劇場同時公開のせいか、レンタル料金は少し高めで1200円。
しかしタイトルだけ見てもどんな感じの作品なのかピンと来ない感じの映画ですが、どうやら「ムカデ人間」とかの系列の『変態的猟奇ホラーもの』という系譜を意識したタイトルのようですね。
ただ中身の方は「ムカデ人間」とはかなり異なる感じで、科学者の狂気を描くというよりも『怪人オンパレードのイロモノ映画』という印象。
お話としては、『ナチスの秘密基地に侵入したソ連の偵察部隊がフランケンシュタイン博士の子孫によって作り出された改造人間である『武器人間』の群れに遭遇する』という感じの内容で、ミリタリー要素のあるモンスターホラーという感じ。
序盤は、意外となかなかお話が展開せずに出てくるのも『ゾンビの腕に鎌を付けただけ』みたいな改造人間なので物足りなさを感じるのですが、中盤以降は様々なデザインの改造人間が大量に出現してガッツリと楽しませてくれます。
本作の見所は何と言ってもそのブッ飛んだ改造人間のデザインで、口の部分に巨大なドリルが付いた蚊人間みたいなものとか、シュモクザメみたいな頭に両手がハサミに蟹人間みたいなものとか、「バイオショック」のビッグダディみたいな潜水服を改造したのとか、何故か頭がプロペラになってる人とか…
いかにも見世物小屋のフリークショウ的なイメージで、改造人間オンパレードの様子を眺めるだけでもその手のノリが好きな人ならば十分に楽しませてくれます。
終盤で博士が『戦争を終わらせるため』みたいな目的を語るのですが、『いやいやどう考えても全力で趣味が入ってるでしょう!!』って感じで、細かい事は考えずに楽しめるみたいな割り切ったノリが良い感じです。
イロモノ映画なんだけどお話の方もおざなりな感じではなく、登場人物の個性付けなんかもなかなか上手くてストーリーも少しだけ捻りが効いた展開でなかなか先が読めないのに加えて、ラストのちょっと皮肉な感じのオチも悪く無い印象。
ただ博士の出番が意外と少ないせいで『狂気っぷり』がそこまで表現されておらず、ちょっと印象が薄いのは気になったかなぁ…
もうちょっと中盤辺りからお話に絡ませて、マジキチっぷりを披露してくれた方が良かったかも?
また一応はPOV形式を取っているのですが、あまりPOVっぽくない絵作りでモキュメンタリーにする意味があまり感じられなかったので、POV形式じゃなくても良かったんじゃ…
総評としましては、色々とツッコミどころはある作品ではありますが『B級のイロモノ系悪趣味映画』が好きな人ならば、十分に楽しめる作品だと思います。
とりあえずブッ飛んだデザインの怪人オンパレードのフリークショウ的な作品が観てみたいというのであれば、十分に満足できる内容だと言えるでしょう。
ただ現時点では、劇場で観るかやや割高なオンライン配信しか観る手段が無いようで観るためのハードルがちょっと高いですので、急がないのであればDVDレンタルに来るまで待っても良いかもしれません。
とまれ、この手の『トンデモ&イロモノ系のジャンルもの』が好きな人であれば、間違いなくチェックしておいて損は無い一本ですよ。