NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「チェインド」(60点/サスペンス)

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■■■「チェインド」■■■
(60点/サスペンス)

 幼い頃に連続殺人鬼であるタクシーの運転手のボブに誘拐されたティムは、そのまま殺人鬼の家に監禁されて『ラビット』と名付けられ、彼の身の回りの世話を強要される事となる。

 やがて数年の年月が経過し、足に鎖を繋がれて虐待され続ける生活を続けながらも青年へと成長した彼は、殺人鬼のボブとの間に奇妙な信頼関係のようなものを築きはじめていた。

 しかし未だに殺人に難色を示し続ける彼を『殺人鬼』として育て上げたいと考えたボブは、一人の少女を誘拐してきて彼に殺害を強要するが…



 連続殺人鬼と殺人鬼に監禁された一人の少年の奇妙な生活を描いた、サスペンスホラー映画。

 デヴィッド・リンチの娘であるジェニファー・リンチの監督作品。 「サベイランス」もそうでしたが、やはり親譲りの独特のセンスの持ち主というべきか、本作もちょっと一筋縄では行かない感じのサスペンス映画という感じですね。
 (でも、前作の蛇女の映画は『ナンジャコリャ?』状態でしたが…)

 ただ、製作にD・リンチが加わってた「サベイランス」と比べると本作はリンチテイストは弱めで、ちょっと変わった雰囲気のサスペンス映画という程度のイメージになっています。

 設定としてはいわゆる『監禁もの』のサスペンスなのですが、一般的な監禁ものとは少し違ってノリとしてはシチュエーションスリラーに近いような印象。

 いわゆる監禁ものの『犠牲者の味わう理不尽な恐怖』というようなノリでは無くて、『監禁された少年と殺人鬼の奇妙な親子のような奇妙な関係』という独特のテイストの設定が面白いですね。

 どちらかというと主人公と殺人鬼の心理劇のようなものに主眼が置かれている印象で、殺人のシーンはアクマで『本編の添え物』という感じなのですが、退屈させないための良いアクセントになっている構成はなかなか上手いです。

 彼を人殺しに仕立て上げようととする殺人鬼と、ネガティブな性格ながらも冷静な主人公という対比もなかなか良い感じ。

 ただ中盤までは先が読めなくて面白いものの、後半の展開は容易に先が読めちゃうので、もうちょっとミスリード的な演出があっても良かったかも?

 ラストの意外なオチは良いアクセントにはなってましたが、アクマで本編のオマケっぽい感じですしね。
 でも印象的な最後のカットは割と良かったかな?


 総評としましては、なかなかに独特のテイストながらも割と良く出来た『佳作レベルのサスペンスホラー映画』といった感じの作品です。

 シチュエーションスリラー的なノリが好きならば普通に楽しめる作品だと思いますので、『ちょっと変わったテイストのサスペンス』を観てみたいというのであればチェックしておく価値はある一本だと思います。

 とりあえずジェニファー・リンチの新作という事で気になっているならば、間違いなく観ておいて良いと思いますよ。
 「サベイランス」も嫌いじゃないけど、ちょっと狙いすぎてる感が強かったので個人的にはこっちの方が好きかも?