NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「地獄の血みどろマッスルビルダー」(25点/モンスター:一部の人にオススメ)

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■■■「地獄の血みどろマッスルビルダー」■■■
(25点/モンスター:一部の人にオススメ)

 ボディビルディングを趣味にする直人は、ある日、雑誌のライターで元恋人の美香から、心霊スポットの取材として以前に心霊写真が撮影されたという『彼の父親が過去に暮らしていた空家』の取材を受ける事となる。

 調査の為に、霊能者と共に30年前に放置された廃屋へと足を踏み入れた彼らだったが、その場所に渦巻いていた30年前に殺された女性の怨念と霊能者のパワーが融合して、思いもよらない恐るべき事態へと陥って行くのだった…



 かつて殺人事件の起こった廃屋へと訪れた3人の男女が殺された女性の怨念のパワーによって恐るべき事態へと遭遇するという、モンスターホラー映画。

 なんでも、日本版「死霊のはらわた」を目指して作られた作品で、深沢真一監督によって15年の月日を掛けて作られたゴアホラー映画だそうです。

 …が、ぶっちゃけ自主制作映画でも半年ぐらいで作れそうな内容なので、どうしてこんな映画の完成に15年もの歳月がかかったのかは永遠の謎ですな。

 死霊のはらわた」を目指して作られたというだけあって、あちこちに「死霊のはらわた」を思わせるオマージュが仕込まれていたり、お話の整合性や内容よりもイキオイのあるゴア描写を重視した『やりすぎスプラッタホラー』的なノリを貫いているのは良い感じではあります。

 細かいことを気にせずに『やりすぎだろ!!』とか『そんなアホな!!』という感じのツッコミを入れつつ楽しめる内容なのは良いですね。

 お話としては、『かつて殺人事件のあった廃墟に侵入したら、霊能者が死霊の怨念の力でゾンビに変身させられちゃってマッチョ主人公と戦う』とまあそれだけのお話なんですが、ストーリーらしいストーリーは無いも同然で映画の7割ぐらいは『主人公がゾンビと戦ってるだけ』で、ここまで割り切ってると逆に清々(すがすが)しさを感じるレベル。

 ゾンビが異常なぐらいにタフで、手足をバラバラにしても頭に手足だけがくっ付いた物体Xみたいな状態で攻撃してきたりと、残虐表現がやりすぎでギャグのレベルまで昇華されてるのが良い感じです。

 ただ確かにホラー映画としてのイキオイはあるのですが、いかんせん映像が物凄く古臭いのは困りもの。

 撮影にから公開までの15年もかかってる辺りから、多少の古臭さは仕方無いのでしょうが、映像は15年前で考えてもかなりお粗末なレベルで『学生の卒業制作作品でももうちょっとマシな映像が撮れるんじゃ?』ってぐらいの特撮表現です。

 血飛沫や臓物もバンバン出てくるものの、リアリティさが全く感じられないので怖さや気持ち悪さは全く無いですし…
 (まあネタ的にギャグ路線の映画なので、それで十分という話もあるんですけどね。(笑))

 また撮影が8ミリフィルムで行われてるっぽくて、画面が思いっきりTVサイズの荒い画像ってのも今時の映画としては(というか今時の大画面テレビで観るには)厳しいところ。
 ぶっちゃけ、40年ぐらい前の超低予算ゴアホラーを観るぐらいのつもりで鑑賞すると丁度良いかも?

 尺が全体で60分しかなくて登場人物も実質3人ぐらいしか居ないので、内容的にもボリュームの無さ的にも物足りなさが残ってしまうのも辛いところかなぁ…

 あと、廃墟と化した日本家屋の雰囲気とかが良い味を出してる割には、その辺があまり活かされてない事や、ゾンビが弱すぎて主人公たちがあまりピンチに陥らない(むしろ主人公が強すぎ?)ので緊張感が全く無いのも惜しいところかも…

 でも徹底して悪ノリしたゴア描写とか、ラストの無駄に熱い展開とか見るべきところはある作品ではあるんですけどね。


 総評としましては、良い意味でも悪い意味でも『超低予算でZ級のお馬鹿ホラー映画』といった感じの作品です。

 いわゆる『味のあるクソ映画』を求めている人のニーズにならピッタリと合致する作品だと思いますので、そういったタイプの作品を求めているのであれば、チェックしておいても損は無い一本だと言えるでしょう。

 逆にそういう映画と知らずに本作を観た場合、あまりのショボさに『なんじゃコリャ?』となってしまうかもしれませんので、キチンとした『マトモなホラー映画』を求めている人は地雷を踏んでしまわないように要注意です。(まあタイトルの時点で気付くか?(笑))