NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「悪魔の起源 ジン」(30点/オカルト)

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■■■「悪魔の起源 ジン」■■■
(30点/オカルト)

 生まれたばかりの赤ちゃんを喪った若い夫婦であるサラーマとハリドは、心の傷を癒やすためにアメリカから故郷のアラブへと戻る事となる。

 海沿いの高層マンションで暮らし始めた2人だったが、サラーマが一人のときに居ないはずの赤ん坊の泣き声を聞いたり、真っ黒い服を着てケープを被った奇妙な集団が家の周りに出没するのを目撃したり、部屋の床下や天上裏から壁を叩く音を聞いたりという奇妙な現象に遭遇する。

 加えて、夫や周囲の人間の不自然な態度に不信感を抱くようになった彼女は、遂には赤ん坊の死に関わる恐るべき秘密を知る事になるのだった…



 幼い赤ん坊を喪った若い夫婦が伝説の魔神である『ジン』に関わる恐るべき恐怖に晒されるという、オカルトホラー映画。

 「悪魔のいけにえ」でお馴染みのトビー・フーパー監督がアラブ首長国連邦で製作したという新作ホラー映画なのですが…

 ぶっちゃけトビー・フーパーどうしちゃったの?』とツッコミを入れたくなるぐらいに微妙な出来の作品です。

 このところ新作も撮ってなかったですし最近の作品の出来もそこまで良くなかったものの、本作はそれを考慮に入れても『何をしたいんだが良く分からない映画』という印象。

 お話としては、キリスト教の悪魔の起源となる『ジン』の伝説に関わる事になった若い夫婦が恐怖を体験するという感じで、パッケージだけを見るとモンスターホラーっぽいですが、ノリ的にはローズマリーの赤ちゃん』的なノリのオカルト映画という感じ。

 主人公が原始宗教の『魔神(ジン)信仰』みたいなものに巻き込まれたせいで超自然的な恐怖を体験していくみたいな流れなのですが、なんというかとにかくお話が分かりづらいです。

 というのも、主人公が超自然的力の影響かしょっちゅう幻覚を観るため、何が現実に起こってて何が妄想なのかの区別が付きづらく、お話の流れがどうにも読みづらい。

 ジンとその信者(?)の行動も狙いが判然としなくて全体的に何をしたいのかが分からないですし、周辺の人物の人間関係も非常に分かりづらい上に主人公の旦那の行動も意味不明すぎて、終盤まで何が起こっているのか良く分からずに、とにかくモヤモヤします。

 まあ一応は『雰囲気映画』的なノリの作品ですので、不気味な演出とかはそれなりに良い味を出してるので楽しめる要素も無くはないのですが、『ジン』に関するバックボーンがあまり丁寧に語られてないせいもあって恐怖が伝わりづらく、雰囲気映画としての怖さもどうにも中途半端。

 盛り上がるようなシーンも殆ど無くてどうにもダラダラとした展開が多いので、単に良く分からない映画になってしまっている印象です。

 でも終盤でそれなりの山場はあって『ようやく話が盛り上がって来たか?』と思いきや、盛り上がりきらないうちに物凄く唐突なオチで『えっ?』って感じで終わってしまいますし、全体的に『どうしてこんな事になっちゃったんだ?』という感じ…

 まあ、ラストの唐突っぷりはトビー・フーバーらしいと言えなくも無いですが、流石にここまで意味が分からない展開の上に投げっぱなしなオチでは『もうちょっとちゃんとしてもバチは当たらんだろ…』としか言いようが無いようなお話でしたよ。


 総評としましては、『なんじゃコリャ?』と言う以外に評価のしようが無いような、なんとも微妙な作品ですね。

 トビー・フーパー監督の新作という事で期待してたのですが、過剰な期待を差し引いたとしてもそれ以前にどうにも盛り上がりに欠ける映画でしたよ。

 気になっているのであればチェックしてみるのを止める事はしませんが、ぶっちゃけ普通にスルーしてしまっても問題ないレベルの一本だと思いますよ。