NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を観てまいりました。

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 近未来、人類は宇宙から飛来した謎の侵略者である『ギタイ』によって侵略を受け、欧州の大半を占領されつつも新兵器のパワードスーツを導入する事によりなんとか対抗して戦線を維持していた。

 そんなある日、広報担当の将兵であるウィリアム・ケイジは、上官への反逆罪によって階級を剥奪されて最前線へと送られる事となってしまう。

 マトモな戦闘経験の無い彼は、戦場でなんとか1体の『ギタイ』を倒すもののすぐに戦死してしまうが、死んだ筈の彼が目を覚ますと何故か『出撃前日の朝』に時間が巻き戻されている事に気付く。

 戦場で戦死する度に『出撃前日の朝』に跳ばされ続けた彼は、同じ戦場で徐々に経験を積み重ねる事によって生存時間を少しづつ伸ばしていくが、そんな中で歴戦の女兵士であるリタ・ヴラタスキに出合った際に『次に時間を戻された時に自分のところに会いに来い』という奇妙なメッセージを受け取り…

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 劇場にてオール・ユー・ニード・イズ・キルを観てまいりました。

 桜坂洋氏の書いた国産SFライトノベルであるAll You Need Is Kill」のハリウッド映画化作品という事で色んな意味で話題を集めていた作品ですが…

 自分も原作を読んではいたものの、予告を観た印象でのあまりの原作とのテイストの違いから『まあビデオになってからでも良いかな?』とスルーしていたのですが、観に行った人の評判が良いようなので公開終了ギリギリですが飛び込みで鑑賞してきましたよ。

 観てきた結論としては『期待してなかったけど意外と面白いじゃん!!』ってのが正直なところですね。

 原作と比較すると、主人公が新兵じゃ無くなってたりヒロインも美少女とは言い難いレベルでガチムチだったりと色々とテイストに違いすぎる部分が多く、正直『うーん?』って思うところや、設定の違いから来るツッコミどころも少なくは無いのですが、『同じような設定の別の話』と捕らえてSFアクション映画として観た場合は、普通に面白く楽しめる作品といった印象。

 実際に原作をベースとしてるのは『SF的な設定』の部分と『序盤の展開』ぐらいで、中盤からは『全く別の話』のような展開になるので、むしろ原作の事は忘れて割り切って観れる感じなのは良いですね。

 むしろ逆に原作を知ってても中盤以降の展開は全く読めないので、純粋に楽しむ事が出来ましたよ。

 お話のテンポも非常に良くて、序盤の謎の提示~謎解きが少しづつ進んでいくのですが、謎解きの幕間に適度にタイムループでのアクションシーンが挿入されるおかげで、全く退屈しないで済むような作りになってるのは良い感じ。

 また、タイムループものの割には謎解きのステージが進む度に『シーンの切り替え』が行われるような構成になっており、同じシーンを何度も見せられる事による冗長さを感じさせない作りなのも上手いです。

 終盤の展開も無駄に熱くて良い感じですし、色々とツッコミどころはあるもののお話としては普通に面白かったですよ。

 あとパワードスーツのデザインも予告編で見た時は微妙な印象でしたけど、動いて戦っているシーンを観ると意外とカッコ良く見えるのは不思議ですね。
 やっぱ実写映画でのこういうアクションの見せ方の上手さは『流石はハリウッド映画だなぁ…』と普通に感心しましたよ。

 ただ不満点を挙げるとしたら、時間ループの謎解きにかなりのボリュームを費やしているためかキャラの描き込みがやや薄くなっており、特にヒロインに今ひとつ魅力が感じられなくなってるのは難点かなぁ?
 (原作はライトノベルだけあってキャラの描き込みは凄くシッカリしてたので…)

 ややネタバレになりますが、中盤から『主人公がヒロインを助けるために頑張る』みたいな流れになるんですけど、ぶっちゃけヒロインが本編の中で割とどうでも良い扱いだったので、その辺はあまり感情移入できなかったかも…(笑)

 あと、惜しむらくは原作の最大の持ち味の一つである『何度も死にながらリセットを繰り返して徐々に強くなっていく』というテイストが薄くなってしまってたのは非常に残念な部分でした。
 (原作が『ゲームで何回も死にまくりながらリセットを繰り返して難関をクリアしていく』みたいなノリをオマージュした内容だったので、お話の組み立ての都合とはいえその部分がオミットされてしまったのは惜しい…)


 総評としましては、原作を知ってても知らなくても『普通に楽しめるレベルの佳作SFアクション映画』って感じの作品ですね。

 よほど原作に思い入れがあって『こんなのは認めない!!』という人じゃなければ単純に楽しめる良作だと言えるでしょう。

 ツッコミどころも少なくは無いものの、SFアクションものというジャンルが好きならばごく普通に観ておいて損は無い一本だと思いますよ。