(50点/オカルト)
芸術家志望のジルとその恋人でカメラマンのアダムは、自分たちの日常の行為を赤裸々にビデオに収めるのを趣味としていた。
そんなある日、ジルの絵の展覧会の場所を探していた彼らは、かつて『子供の中絶の駆け込み寺的な場所』だったと言うウワサのある、いわく付きの廃病院へと下見の為に侵入する事となるが、誰もいない筈の病院から奇妙な物音や異様な気配を感じた彼らは、恐怖のあまり病院から逃げ出してしまう。
しかし、2人の友人たちと合流した彼らは改めて廃病院に侵入する事となるが、再侵入直後からジルが徐々におかしな態度を取るようになり…
芸術家志望の若いカップルが曰くつきの廃病院でイチャイチャしながらビデオを撮影してたら、この世のものならざる『映ってはならないもの』が映ってしまうという、POV形式のオカルトホラー映画。
「キャンディマン」のバーナード・ローズ監督の新作で『実際の心霊スポットとして有名な廃病院で撮影を行った』とかで話題になった作品のようですが、中身の方は『ちょっとだけHな要素のある普通のPOVオカルト映画』って感じの作品ですね。
というかバーナード・ローズ監督って「キャンディマン」以降は殆ど名前を聞いた事が無かったのですが、いったい今まで何の映画を撮ってたんだろう…
お話としては『若いカップルの撮影するビデオに映ってはならないものが映りこんでしまい、ついでにお姉ちゃんが幽霊に取り憑かれておかしくなっていく』みたいな感じのお話で、そこまで特徴のある作品という感じでもありません。
タイトルのとおり『Hな要素』がちょっとだけ本編の重要な部分を占めていますが『本作の特徴』という程にインパクトのある内容でもないので、ぶっちゃけバカップル的なイチャイチャするシーンを矢鱈と多く見せられてちょっとイラっとする程度。
ただ、実在の心霊スポットの廃墟でロケを行っているというだけはあって、廃墟の雰囲気なんかはなかなか良い感じなので、むしろPOVじゃなくて普通に撮影を行って欲しかったかも?
ちなみに本編内の出来事がリアルタイムで『数時間程度の出来事』でしかないために、ストーリーらしいストーリーは殆ど存在しません。
ノリとしては『幽霊に取り憑かれたっぽいヒロインが徐々におかしくなっていく』って過程を描いているような感じなんですが、幽霊に取り憑かれた後のヒロインの行動が本気で『何を考えてるのか分からないレベル』なのですが…
その行動が『何を考えているのか分からずに怖い』というよりも『やってることが不可解すぎてお話の流れが見えなくなる感じ』なので、お話の全容がなかなか見えてこないため観ていてちょっとイラっとします。
終盤でお話の真相が見え始めるまでがそんな感じの流れなので、中盤の展開がダルくて冗長に感じてしまう部分が多いのは、ちょっと残念なところでしょう。
逆に終盤の展開はそこそこ怖くて良い感じなのですが、どうにも盛り上がるまでの流れが物足りない印象だったので、もうちょっと中盤辺りでシッカリと怖がらせる演出があれば良かったかなぁ?
或いはセックスの要素を売りにするのであれば、もうちょっと変態的なノリや猟奇的なノリを前面に押し出した作りにするなりして、本作ならではウリとなる部分が欲しかったです。
なんというかキチンと作られては居るんだけど、本作ならではの個性に欠ける印象のある作品でしたよ…
総評としましては、何と言いますか『可もなく不可もない感じのPOV形式のオカルト映画』って感じの作品です。
ツマんない訳では無いのですが特に推すような要素も無いので、オススメとまでは行きませんが、この手の作品が好きだったり心霊スポットの廃墟が大好きだったりするのであれば、まあ『お好みで』って感じの一本と言えるでしょう。
とりあえずバーナード・ローズ監督の久々の新作ですし、監督の近況とかが気になる人はチェックしてみても良いんじゃないでしょうか…