■■■「昔々、アナトリアで」■■■
(50点/サスペンス)
とある殺人事件を調査する警察官、検察官、検死医と応援の軍隊の面々は、殺人容疑者の男の証言を元に草原に埋められた遺体の捜索を開始する。
しかし、事件の当時に酔っていたと証言する容疑者の記憶はあいまいで、広大な深夜の草原をひたすらに転々と移動させられ、疲労と苛立ちを募らせていく事となってしまう。
ようやく一晩かけて死体の場所を発見した彼らは、死体を回収して街の病院で検視を開始するが…
殺人犯の証言を元に広大な草原で死体を捜す事となった警察官や検察官たちの活動を描く、ロードムービー風味のサスペンス映画。
一応はサスペンスと区分してますが、『カンヌ映画祭』とかの芸術性の強い映画祭に出展されるタイプの作品で、ノリとしてはカルト映画とかに近いタイプの映画ですね。
「バグダット・カフェ」とか「バートン・フィンク」とかに近い系列で、あそこまでトンガっては無いもののいわゆる雰囲気映画って感じの内容で、系列としてもサスペンスよりもロードムービー的なノリの方が強いかな?
雰囲気映画だけあってストーリー的な要素はあまり無くて、だらだらとした割とどうでも良い話の合間に、ちょっと哲学的な話とか観念的な話とかをしながら、ロードムービー的に主人公たちが広大な平原を移動していくという、この手の映画では良くある感じのお話。
ぶっちゃけ、そういう映画が好きじゃ無い人にはかなり退屈な内容のうえ、尺も無駄に2時間30分もあるので、苦手な人だと途中で3回ぐらいは余裕で寝てしまうような映画だと思います。
(ぶっちゃけ、自分も途中で1回寝てしまいました。(笑))
雰囲気映画だけあって作中に流れる雰囲気や空気感のようなものは非常に良い感じですし、作品の持つ不思議な時間感覚のおかげでそこまで退屈もせずに観れるのは好印象。
ただ主軸となるストーリーはあるものの予想通りに明確なオチや結論は描かれずに、盛り上がってるんだか盛り上がってないんだか良く分からないままにモヤっとしたまま終わってしまうのは、やはり好みの分かれそうなところでしょう。
個人的には嫌いじゃ無いタイプの映画ではあるのですが、本作はやはり『2時間半はちょっと長すぎるかなぁ…』ってのは気になった部分ですね。
あと、ラストの検死のシーンでの検死医の行動の意味が良く分からなくて、なんかモヤっとした気分になったのは自分だけですかね?
(まあ、そういう映画なんだと言われたら、そのとおりなんですけど…)
総評としましては、いわゆる紛う事なき『雰囲気映画』ですので、とにかく『観る人を選ぶ映画』って感じの作品ですね。
そういうタイプの映画が好きな人ならばなかなか楽しめる作品でしょうし、そうじゃなければ単に退屈なだけの作品になってしまうでしょう。
とりあえず『カルト系の雰囲気映画』とかが好きであれば、観ておいても損は無い一本だと思うので、そういう系列の作品が好きな人ならば割とオススメですよ。