NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「肉」(65点/サスペンス)

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■■■「肉」■■■
(65点/サスペンス)

 ニューヨーク州の片田舎に住む敬虔なキリスト教徒のパーカー一家は、ある日、不慮の事故で母親を亡くすという不幸に見舞われる。

 悲しみに暮れるなか、2人の娘であるアイリスとローズがこの家に先祖から伝わるとある『伝統』を受け継ぐ事になるが、それは『子羊の日』に人間を殺してその『人肉を食べる』という恐るべきものだった。

 彼女たちはこの奇妙な伝統に葛藤を抱きつつも、家を支えるために伝統の儀式を執り行おうとするが、そんな矢先に増水で叛乱した川で医師のバローが古びた人骨のようなものを発見。

 その人骨が、この地方で相次ぐ行方不明事件と関係があるのでは無いかと考えた彼は、新人保安官のアンダースとともに調査を開始するが…



 人肉食(カニバリズム)の伝統を持つとある一家を巡る運命を描いた、サスペンススリラー映画。

 なんでも本作は、メキシコのカニバリズムを題材としたホラー映画である「猟奇的な家族」という作品のリメイクのようなのですが、元の作品は残念ながら観た事が無いので比較はできませんが、なかなか良い感じのサスペンス映画ですね。

 ただ個人的には結構気に入った作品なのですが、なんというかちょっとクセの強い映画なので万人にオススメできるかと言われると微妙なところ…

 カニバリズムを題材にしてはいますが、そこまでグロ系列みたいな内容じゃなくて、どちらかというと『雰囲気映画』にテイストが近い感じの作品ですね。

 お話としては、『とある人肉食(カニバリズム)の伝統のある一家で母親が事故で無くなった事から、娘の2人がその伝統を受け継ぐ事になる』みたいな感じのストーリーなのですが、因習と厳格な父親に縛られた娘達を中心にお話を描いており、全体的にダウン系というか切ない感じの空気の流れる内容です。
 (ちなみにパッケージだけ見ると耽美系っぽい感じですが、そこまで耽美って程ではありません。)

 雰囲気映画だけあってお話の流れとかは遅めで、全体的にあまり派手な要素も無いのですが、そのぶんシットリとした空気感や物悲しい雰囲気なんかは割と良く描かれています。
 このやるせない雰囲気やら、救いようの無い結末に向けて進んでいく破滅的なテイストやらが好きな人であれば、そういった独特の雰囲気だけでも十分に楽しめる内容でしょう。

 また良くあるタイプの『単なる不幸なだけの雰囲気映画』で終わるかと思いきや、終盤でのちょっと意外な展開やら思いがけない衝撃的な結末やらで予想を裏切ってくれるのも好感触。

 ただ雰囲気は良いといっても、やはり冗長な部分が多くてお話の展開なんかも早くないので、そういうスローテンポな映画が苦手な人にはちょっと辛い映画かもしれません。


 総評としましては、独特のテイストと雰囲気を持った『良作のサスペンス映画』といった感じの作品ですね。

 雰囲気映画系の作品が好きな人ならば楽しめる内容だと思うのですが、逆にテイストが肌に合わないと展開が遅くてダルい映画と感じてしまうかもしれませんので、ちょっと人を選ぶ映画だと思います。

 色々と不満点もあるものの自分的にはなかなか面白かったと感じた作品ですので、そういう方向性が趣味に合いそうであればチェックしておいて損は無い1本だと思いますよ。