■■■「タイムリミット」■■■
(55点/サスペンス)
カフェで恋人と一緒に誕生日を過ごしていた筈の整備士のロバートは、何者かに拉致されて冷凍庫のような場所で手足を拘束状態で目を覚ます。
混乱するロバートだったが、その場所に現れたロシアンマフィアらしい男たちとひとりの女性から唐突に『隠した800万ドルを返せ』と要求されるものの、そんな大金に身に覚えの無い彼は男たちにそう告げるが話を信じてもらえず、冷凍庫の温度を下げて拷問されながら監禁されてしまう。
彼は何とかして冷凍庫から脱出しようとするが、そんな最中、冷凍庫の奥に腹を撃たれた状態で隠れていた潜入捜査官のサムと名乗る男を発見。
彼に自分が巻き込まれたであろう事件のあらましを教えられるが…
誤解からロシアンマフィア達によって冷凍庫に監禁される事になった男のたどる運命を描いた、シチュエーションスリラー映画。
冷凍庫を舞台とした、いわゆる『監禁もの』のシチュエーションスリラー映画ですが、どちらかというとシチュエーションよりもストーリーに凝った感じの作品ですね。
お話としては、『身に覚えのない理由で冷凍庫に監禁された一人の男が何とかしてその場所から脱出しようとする』って感じの展開なのですが、登場人物が少しづつ増えていって『新たな情報』を聞き出すたびに事件の真相が明らかになっていくって言う流れはオーソドックスながらも良い感じ。
主人公と周辺の人物のハッタリと誤解から状況が二転三転していき、全く先が読めない展開になっていくのもなかなか面白いですし、限られた舞台装置と登場人物を効率的に回して会話劇でお話を作り上げているという感じで、なんとなく舞台劇を彷彿とさせるような印象の作品ですね。
主人公が危機に立たされている『冷凍庫』というシチュエーションが基本的に『寒いだけ』なので、そこまで強い危機感は無くてサスペンスとしての緊張感はあんまり無いのですが、お話の構成が上手くて常に次にどうなるのかが読めないため退屈しない作りになっているのは面白いです。
ただ、ここからちょっとネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けないのですが…
終盤までの展開は先が読めなくてなかなか面白いのですが、ラストの唐突な急展開は個人的には『どうなんだ?』って感じですねぇ。
確かに意表をつく展開ではありましたし、中盤とかでソレっぽい手がかりは出てきてはいるのですが、あまりに唐突すぎて今までの展開がちゃぶ台返しされちゃうレベルなのはいかがなものかと…
この辺が、もうちょっと納得の行く感じで伏線が張られてるなり処理されているなりすれば非常に面白い作品になったと思うんだけどなぁ?
オチは確かに痛快で良いのですが、その辺のノリが受け入れられるかどうかが本作の評価の分かれ目になりそうな作品だと思いました。
総評としましては、特筆するレベルではないものの『そこそこ良く出来たシチュエーションスリラー映画』という感じの作品ですね。
とりあえず会話劇系のサスペンスとかが好きならば割と楽しめる作品だと思いますので、そういうノリが好きであればチェックしておいても良いレベルの1本でしょう。
オチとかで好みが分かれそうな部分はあるので、お話の細かい作りこみよりもイキオイとかノリとかが大切だと感じる人の方がオススメできる内容かも?(笑)