（５５点／モンスター）
学生のアーティは、数年前に初恋の相手である幼馴染のエイプリルと引越しで分かれて以来、鬱ぎみになり引きこもりのような生活を続けていた。
そんなある日、祖父の勧めで医師に精神安定剤を処方して貰った彼は、自分を変えようとエイプリルに会いに行く決意をする。
しかし車で彼女の住む町に向かう途中で、唐突に道路に現れたゾンビに驚いて事故を起こしてしまい車は大破。
仕方なくひとまず徒歩で自宅まで帰る事にした彼だったが、自宅に侵入していたゾンビに手を噛まれてしまう。
なんとかゾンビを撃退したものの、ゾンビウィルスに感染して自分に残された時間が少ないと考えた彼は、エイプリルに会って大量発生したゾンビから彼女を救うために、再び旅に出ることを決意するのだった…
平凡で気弱な青年が幼馴染を救う為にゾンビだらけの世界へと旅に出るという、ロードムービー風のモンスターホラー映画。
タイトルからして「ロンドンゾンビ紀行」みたいな最近流行りのコメディ風味のゾンビ映画かなと思いきや、冒頭からいきなり一番の理解者である爺さんは死んじゃうわ、彼女は生死不明だわ、旅の途中で知り合った仲間は次々と死んでいくわで、実際の中身の方はかなりシビアな世界観の作品です。
ノリとしてはいわゆる『ソンビもののロードムービー』といったタイプで、ゾンビだらけの世界を旅する主人公の成長を描いた感じの内容ですね。
ロードムービーテイストの作品のため人間ドラマ的な側面が強くて、逆にゾンビは『世界背景の一部』みたいな感じで影が薄めな印象。
タイトルやパッケージから受ける印象とは裏腹に物凄くドライな内容で、『主人公が次々と訪れる危機と出会いや別れを繰り返す事で成長していく』というテーマは、ドライな展開とあいまってなかなか良い味を出していると思うのですが、一つ一つのエピソードがアッサリし過ぎ＆主要キャラが死ぬときもアッサリし過ぎでちょっと盛り上がりに欠ける感があったので、もうちょっと明確な山場となるシーンがあっても良かったかも？
またキャラをシッカリと描くために序盤で主人公のドラマがかなり掘り下げられて描かれるのですが、この部分が結構長めでちょっと冗長だし、逆に終盤は物凄く駆け足みたいになっちゃってる印象なので、バランス的に導入部の序盤はもうちょっと短くても良かったかなぁ…
あと、ラストのオチはなかなか印象的で悪く無いと思うのですが、賛否ある内容で好みの分かれるところかなぁ？
（というか、このオチが受け入れられるかどうかが、本作の評価を分けそうな気もしますよ…）
総評としましては、色々とツッコミどころや人を選びそうな要素はありますが、なかなか良く出来たロードムービー風のゾンビ映画だと思います。
ロードムービーとかのそういうジャンルが好きであれば、なかなか楽しめる作品だと思いますので、ゾンビ好きで気になっているのであればチェックしてみても損は無い一本でしょう。
ただ、コメディっぽいタイトルに釣られてそういう方面を期待して観た場合は、そういう要素は殆どありませんので騙されないようにご注意ください。
