■■■「バーチャリティ12」■■■
(55点/サスペンス)
人類の居住可能な惑星を探す為に、10年に渡る太陽系外の調査ミッションに出発した宇宙船パエトン号では、外宇宙を航行する為の新型オリオンロケットへの点火を探索を続行するかミッションを中断して地球へと引き返すかの『決断ポイント』への到着の瞬間が迫っていた。
彼らは任務のストレス解消の為にバーチャルリアリティを用いたシステムを利用し、南北戦争の指揮官、ロックスターの体験をしたり、同僚とリゾート地へと出かけての不倫をしたりという行為を娯楽として利用していたが、そんな矢先にシステムにバグらしきものが発生。
仮想現実世界に奇妙な侵入者が現れ、彼らに暴力を振るったりを殺害しようとしたりするようになる。
船を管理する人工知能のジーンに問い合わせても原因は特定できず、彼らはバーチャルリアリティシステムの利用中止を検討するが、そんな最中、医師のマイヤーにパーキンソン病の初期症状が発見された事から、船長のフランクは任務を続行するか中断するかの重大な決断を迫られる事となる…
太陽系外探査ミッションを行う事となった宇宙船パエトン号とそのクルー12人の体験する奇妙なトラブルを描いた、SFサスペンス映画。
「ハンコック」や「バトルシップ」のピーター・バーグ監督による作品なのですが『全く話題にもなってなかったなぁ…』と思いきや、確かにコレは話題にならなくても仕方無い作品という感じかなぁ?
いやツマんないという訳じゃ無いんですが、『えっ、何コレ?』って感じの映画なんですよ…
何が『何コレ?』なのかと言うと、とにかくお話が物凄い『投げっぱなし』だという事。
B級映画では投げっぱなしの作品なんて良くあるのですが、本作の場合はオチを付けてないとかのレベルじゃなくて、本編でいくつかの謎の提示と割と大きな事件が起こって『さあ、これから本番だぜ!!』みたいなところで唐突に映画が終わってしまい、マジで何がなにやら分からないレベル。
もしかしてTVシリーズの第1話として作られた番組なのかと思って調べてみても、そういう訳でも無さそうですし、コレだけ見せられてもどうしろって言うんだって感じです。
ただ、投げっぱなし部分に到るまでの展開はなかなか面白くて、12人のクルーのキャラクターの立て方や、世界観や世界設定の描き方も非常に丁寧で、観ていて非常に引きこまれる内容です。
サスペンスとしての『謎の提示』の仕方なんかも非常に無理が無くスムーズで、仮想現実と現実との境界のようなものがトリックに使われてるんだろうなと予想させる構成も上手いです。
「2001年宇宙の旅」をオマージュしたと思われる人工知能の描き方やら、宇宙船のビジュアルやら演出やらも非常に凝っており、それに加えて現実に構想されているオリオン(オライオン)ロケットのシステムを映像化した演出とかもSF好きならばニヤリとさせる感じで面白いです。
…が、良く出来てて『続きが観たい』と思わせるような内容なのに、完全に投げっぱなしで何の解決もしないまま終わってしまうのが惜しいですよ。
この作品の続きって、どこかで作られたり作られる予定があったししないのかなぁ?
総評としましては、面白いのは面白いんだけどあまりにも中途半端で投げっぱなしなせいで『物凄く物足りない映画』ってのが正直な感想です。
SF好きならば見どころは結構多い内容だと思うのですが、観終わっても全くスッキリ出来ないですので、特に『オチがシッカリとついてないと納得できない』タイプの人には全くオススメできない作品という感じ…
逆にそういうのを気にしない人で、SF系ジャンルが好きなのであれば見どころも多くて『観ておいても損は無い一本』だと思いますので、気になっているならチェックしてみても良いかもしれませんよ。