NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・ベイ」(65点/パニック:オススメ)

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■■■「ザ・ベイ」■■■
(65点/パニック:オススメ)

 2009年のメリーランド州のチェサピーク湾にあるクラリッジという海辺の町で、魚や鳥が原因不明の大量死をするという事件が発生。

 海洋学者の調査によって湾へ様々な種類の大量の高濃度の汚染物質が流れ込んでいる事が判明するが、報告を受けた町長は町の経済が水産資源によって支えられている事から、この報告を否定し隠蔽しようとする。

 しかし、そんな矢先に町の住民の間で全身の疱疹と大量出血を引き起こす原因不明の感染症が発生。
 病院に収容しきれない程の大量の患者が発生した事から、町は大パニックに陥って行く。

 ニュースリポーターであるドナは、この恐るべき災害の様子を伝える為に、パニックの様子を記録しようとするが…



 環境汚染によって発生した正体不明の感染症によるパニックを描いた、モキュメンタリー形式のパニックホラー映画。

 レインマン」のバリー・レヴィンソン監督と「インシディアス」のスタッフによって製作された作品という事で、ミニシアター系で公開された作品のようですが、そこまで話題になってなかったもののコレがなかなかの掘り出し物でした。

 実写映像風の映像を組み合わせて作られた、いわゆるファウンドフッテージタイプのモキュメンタリー映画なのですが…

 なんというか、とにかく怖い、そしてキモいです!!

 お話としては、主人公たちがハンディカメラで撮った映像を中心にストーリーが展開していき、ところどころで一般人の撮ったホームビデオの映像や監視カメラの映像が時系列に合わせて挿入されていくという流れなのですが、その『粗い画質の映像』が異様なまでにリアリティがあって、本気でこういう事件が起こったんじゃないかと信じそうになるレベルなんですよ。

 お話の組み立てや演出もなかなか秀逸で、序盤からの事件発生~パニック拡大への展開もスムーズですし、感染症の正体を突き止める『謎解き』の流れも無理なく組み込んでいる感じで、分かり難い展開になりがちなモキュメンタリーでありながらお話がすんなりと頭に入って来るような構成は非常に上手いです。

 そして加えて感染症の描写が矢鱈とグロくて、とにかく気持ち悪いんですよ。

 お話の中盤で感染症の正体が『ワラジムシのような寄生虫(最近ではオオグソクムシと言った方が分かりやすいかも?)の仕業と言う事が判明するのですが、この寄生虫がまた妙にリアルな上に『人体に入り込んで身体の中や皮膚の下を這い回る』という設定で、心臓の弱い人にはちょっとキツいんじゃないかと思うレベルの描写の気持ち悪さ。

 グロいのが苦手な人や寄生虫ネタとかが苦手な人には、マジにちょっとオススメできないシロモノという感じです。

 ただ、お話の演出や設定は矢鱈とリアルで物凄く怖いのですが、リアル故にお話の山場となる部分に乏しくて全体的に盛り上がりに欠ける部分があるのはちょっと難点ではありますね。

 ところどころでショッカー演出で怖がらせようとしたり、終盤の凄惨な町の様子なんかは見どころと言えるのですが、オチもちょっと投げっぱなし気味ですし、ハッキリとした起承転結や『見せ場』みたいな物が欲しい人には、ちょっと物足りない感じかもしれません。

 個人的には、この中途半端な演出による事件は解決してるんだけど物凄く不安を感じさせるような後味の悪いラストシーンは、なかなか好みではあるんですけどね…

 あと映画としては良く出来ているのですがまさか「レインマン」の監督がこんな映画を撮るとは思わなかったので、『バリー・レヴィンソン監督どうしちゃったの?』というのが、本作の最大のツッコミどころと言えるかも?(笑)


 総評としましては、素直に非常に良く出来た掘り出し物的な『感染パニックものモキュメンタリー映画』という感じですね。

 グロいのが苦手な人が『普通の感染パニックディザスターもの』と勘違いして観るとエラい目にあうかもしれませんが、逆にそういう「キャビンフィーバー」とかみたいな『エグい系の感染パニック映画』とかが好きな人には、間違いなくオススメできる作品だと思いますよ。

 エグいだけじゃなくて普通に怖い作品でもありますので、普通に『怖いホラー映画』を求めている人ならばチェックしておいて損は無い一本だと言えるでしょう。