NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「フューリー」を観てまいりました。

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 1945年4月、ドイツへ侵攻した連合軍は女子供の民兵までを動員して死に物狂いの抵抗を続けるドイツ軍を相手に苦戦を強いられていた。

 米軍の戦車隊の車長であるドン(ウォーダディー)は「フューリー」と命名したシャーマン戦車に乗り乗員の仲間たちと開戦時からの戦いを生き延びて来ていたが、先の戦闘で副操縦士が戦死した事から戦闘経験のない新兵のを補充兵としてあてがわれる事となる。

 戦闘に慣れない新兵と最前線での過酷な戦闘の苦境を乗り越えつつ、新兵もようやく戦場に馴染んできたところで、彼らはドイツ軍歩兵部隊の増援を食い止めるために街道の『三叉路』を4両の戦車で防衛するという任務に就くこととなるが、進軍の途中で思わぬ敵の伏兵によって3両の仲間を失ったうえに通信機の故障で仲間から孤立してしまい…


 劇場にて「フューリー」を観てまいりました。

 「フューリー」と言うタイトルを聞いて、最初にデ・パルマ監督の超能力もののサスペンス映画がリメイクされたのかと思ったのですが、とあるシャーマン戦車の部隊を題材にした作品と聞いて戦車好きとしてはチェックせざるを得ないという感じで観に行って来ましたよ。

 さて、ブラッド・ピットの主演&製作総指揮という事で話題になった戦車映画ですが、色々とツッコミどころはあるもののなかなか良く出来た戦争映画だと思います。

 お話としては『戦場で孤立した5人の兵士たちが300人のドイツ軍相手に仲間を守るために命がけで戦う』という感じのストーリーで、同時に新兵である若者の成長を描いた人間ドラマ的な要素もある作品といった感じですね。

 本作の何が良く出来てるって、とにかく戦闘シーンに迫力だある事という一言ですね。

 特に序盤の砲兵陣地制圧のシーンの迫力は一見の価値アリで、『こんな情況に立たされたら、自分なら恐怖で一歩も動けないうちに殺されるわ…』と思うぐらいに緊迫感があります。

 中盤の戦車同士の戦闘もなかなか迫力があり、ちょっと映画的な演出も入っているものの(実際の戦車戦では『移動しながら射撃』は殆ど行わない)ティーガー戦車怖ッ、こんなん勝てんわ!!』と思わせる程度のプレッシャーとリアリティを感じられるのは非常に良いところでしょう。

 ラストの300人相手の戦闘シーンの絶望感も良い感じで、この辺の戦闘の演出でちょっとゲーム的な映像の見せ方もあったりするので、FPSとかが好きならば『なにこの無理ゲー』って感じで、なかなかハマって楽しめるんじゃないかと思います。

 ただ戦闘シーンは物凄く良く出来ているのですが、他のシーンに関してはちょっと冗長な印象が強いのは難点かなぁ?

 特に中盤あたりのドイツ人女性の家に上がりこむシーンは、あそこまで無駄に長い尺は必要なかったんじゃ無いかと…
 (まあ、後のシーンに繋がる意味のある演出ではあるんですけど…)

 映画の尺も2時間強と長めですので、お話の内容の割にはちょっと尺が長すぎてダレ気味になる部分もあったので、全体的にもうちょっとシェイプアップしても良かったんじゃないかなぁ?

 また、作品のテーマとして『戦争の残酷さ』みたいなのを描こうとしているのは良いのですが、同時にちょっとヒロイックな要素も描こうとしているせいで演出が妙にチグハグに感じる部分があったのは気になったかなぁ?

 最近の戦争映画では戦争の残酷さを伝えるために『戦争そのものが人間を狂わせる悪である』みたいなテーマの作品が多く、本作もそういう意図の演出が随所に見られたのですが、中途半端にヒロイックな要素も描こうしているせいで、ドイツ軍を妙に悪役っぽく描いてしまっているシーンが多くて、その辺が上記の演出と噛み合わずにちょっと不自然さを感じてしまいましたよ。
 この辺はハッキリとどちらかに演出を寄せた方が良かったんじゃないかと…

 あと戦車がメインとなっている作品の割には、戦車戦のシーンが意外と少なかったのはちょっと不満な要素だったかも?
 (終盤の最大の山場となる『300人のドイツ兵との戦闘シーン』が、戦車戦というよりは殆ど白兵戦ですしね…)

 また余談ですが、本作を観て最初に感じたのはブラッド・ピット老けたなぁ…』という事ですね。
 本作の役作りのためと言うのもあるのかもしれませんが、ちょっとくたびれた感じのオッサン(というかちょっと太った?)という印象で、最初に見た時に一瞬別人かと思ったのは自分だけですかね?


 総評としましては、色々と不満点もありますがそれを差し引いても『迫力のある戦闘シーン』等の十分な見どころがある作品ですので、戦争映画というか戦車ものが好きな人ならば間違いなく観ておいて損は無い一本だと思います。

 戦闘シーンの迫力を堪能するためにも、出来れば大画面で観た方が良い映画だと思いますので、そういうジャンルに興味があれば是非とも劇場で観ておいた方が良いでしょう。

 ただ戦争映画だけあって割と残虐なシーンとかも多くて万人にオススメとは言い難いですし、そういうのが苦手な人はちょっと注意が必要かも?