NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ザ・ホスト 美しき侵略者」(60点/サスペンス)

イメージ 1

■■■「ザ・ホスト 美しき侵略者」■■■
(60点/サスペンス)

 近未来、人類は人間に寄生して精神を乗っ取る知的生命体である『ソウル』の侵略によって絶滅の危機に瀕していた。

 『ソウル』はわずかに残った人類の抵抗軍の隠れ家を突き止めるために、抵抗軍の一員であるメラニーを捕らえ、彼女に仲間の一人である『ワンダラー(放浪者)』の移植を行うが、移植によって消えたはずのメラニーの意識は強い意志によって彼女の中に残る事となり、メラニーとワンダラーじゃ一つの体に2つの意識を持った状態となってしまう。

 ワンダラーは何とかしてメラニーから抵抗軍の情報を引き出そうと彼女の記憶を探るが、彼女の記憶に触れて彼女とコミュニケーションを取っていくうちに彼女の感情に感化されていき…



 宇宙から来た人間の精神を支配する寄生生命体と人類との戦いを描いた、人体乗っ取りタイプのSFサスペンス映画。

 一応、乗っ取りタイプのSFサスペンスと分類していますが、内容的には『感情の無い合理主義のエイリアンに支配された世界で、わずかに残った人類が抵抗を続ける』みたいな感じのお話なので実際には『管理社会(ディストピア)SF』ものという雰囲気の方が強いかな?

 あとSFという体裁を取っていますが、内容の方はむしろ『異種族とのファーストコンタクトを描いた恋愛映画』みたいな方が主題という感じの作品です。

 お話としては『人類の感情に感化された感情を持たないエイリアンが、人類と協力して生き延びる術を探る』みたいな感じの展開で、その流れの中でヒロインが恋人と再会したりエイリアンが別の男性を好きになったりして、恋愛ドラマ的な三角関係(四角関係?)が描かれるという感じの内容です。

 管理社会の描かれ方は非常に『良くあるタイプの演出』(クレリックカラーの白い服を着た支配者たちが矢鱈と殺風景な部屋から指揮している)で、ビジュアル的には特にコレというような目新しい要素は薄い印象。

 低予算映画のせいか、人類の存亡を賭けた戦いの割には全体的にスケールが小さくて、エイリアンの組織も反乱軍も妙に小ぢんまりとしていて映像的な派手さは全くありません。

 お話もラブストーリーが中心のため派手な展開はあまりなくて、ヒロイン2人と相手となる男性2人の関係がメインで描かつつ、その中で『エイリアンが人類と触れ合っていくうちに心が変化していく』という流れが描かれるのですが、どちらにせよ人間ドラマ的な部分が中心になってしまうため、あんまりSF的な要素は強く無い印象ですね。

 特に序盤はヒロインとエイリアンのキャラクターを描き込む事に時間をかなり割いているので、ハッキリ言って冗長で退屈な感じ…

 中盤以降はそこそこ面白くなっていくのですが、アクマでラブストーリーや人間ドラマとして面白くなっていく感じで、どちらにしても派手さは全く無いので、SFサスペンス的な要素を期待して観た場合は肩透かしも良いところでしょう。

 ただ、全体的にコテコテなシナリオで先の読めまくりな展開ながらも、予定調和的なハッピーエンドは心地よいですしお話自体は決してツマんない訳では無いので、まあまあ割と楽しめた感じかなぁ?

 もうちょっと本作ならではの個性とか、ビジュアル的なインパクトとかでもあれば違ったのかもしれませんが、なかなか面白かった割にはちょっと印象の薄い感じの作品でしたよ。


 総評としましては、低予算で小粒ながらも『そこそこ見れるレベルのSFラブストーリー』といった感じの作品ですね。

 ただSFらしい派手な要素やサスペンス的な要素に期待して観ると、そういう要素は殆どありませんので、そっち(SF)方面に期待している人はスルーしてしまっても良いかもしれません。

 コテコテの『ちょっと良い話』系の作品が好きであれば、それなりに楽しめる内容だとは思いますので、そういうジャンルに興味があって気になっているのであればチェックしてみても良い感じの1本だと言えると思いますよ。