■■■「クライモリ デッド・ホテル」■■■
(50点/スラッシャー)
幼い頃に別れた肉親の遺産の相続のために山奥の古びたホテルへと招待されたダニーは、友人たちとともにバカンスを兼ねてホテルの査定へと訪れる。
しかしそんな矢先に、この付近で異常なまでに行方不明者の多く『ホテルの客の一人が行方不明になる』という事件が発生している事を知らされたり、山中で仲間の一人が野獣のような『山男』を目撃した事から、ダニーの友人たちはこのホテルに不気味なものを感じるようになっていく…
しかし自分が天涯孤独の身だと考えていたダニーは親族らしき相手に出会えた事から、逆にこの場所に運命的なものを感じるようになっていき…
山間の古びたホテルを相続するために訪れた若者たちが凶悪なミュータントの人食い一族に遭遇するという、スラッシャーホラー映画。
畸形の人食いミュータント一族である『マウンテンマン』の登場するゴアホラー映画としてお馴染みの「クライモリ」シリーズの6作目に当たる作品です。
このシリーズも6作目という事で随分と長いシリーズになって、新作の度にマウンテンマンが大量に殺されている気がする訳ですが、あのミュータント一族はいったい何人居るんですかね…
とまあそんな細かいツッコミはさておき本作の内容についてですが、前作までが過激なグロ描写に重みを置いた『やりすぎスプラッタホラー』系の方向性だったのに対して、今回はサスペンス的なノリが重視されてて残虐描写は控え目な印象です。(といっても、十分に普通のスラッシャーホラーレベルではあるんですけど…)
お話としては『天涯孤独の主人公が実はマウンテンマンの血族で、その一族の秘密が明かされる』みたいな感じの展開で、今までのシリーズに比べるとストーリーに重みを置いてきた感じですね。
まあ流石にこのシリーズもマンネリ化が激しかったので、作品をリフレッシュするために少し違った方向性に舵を取った感じなんでしょうけど、ぶっちゃけ本作のストーリーが特に面白い訳でも無くサスペンスとしてもイマイチなので、単に『今回は地味な内容だなぁ…』って感想しか沸いてきませんでした。
まあでも『マウンテンマン』の設定を掘り下げて描こうという試み自体は悪く無いですし、舞台になる廃ホテルの異様な雰囲気なんかはなかなか良くでていますし、ホテルの秘密の地下室やら一族の血族のみを重んじる原始宗教的なノリなんかもなかなか不気味で良い感じ。
ただ、それが「クライモリ」シリーズに求めている要素かと言われるとちょっと違うので、いま一つシリーズの方向性とノリが上手く噛み合わなかった感じですかねぇ?
まあ作品そのものの出来が悪いわけでは無く『見せ方によってはもっと面白くなったんじゃないかなぁ…』と思う部分も多いので、設定そのものはこのままでいつもの「クライモリ」らしく、もっと残虐シーンが多めでテンポの良い内容なら結構良い感じになったんじゃないかと…
あと、主人公の立ち位置が最後まで微妙でどういう視点で観て良いのかが判然としないため、サスペンスとしてもホラーとしてもカタルシスの無いオチになっているのも惜しいところでしょう。
総評としては、まあまあ普通の『残酷描写が強めのスラッシャーホラー映画』って感じの作品ですね。
とりあえず「クライモリ」のシリーズとして観るとちょっと物足りない部分も多いので、あまり『ファンにはオススメ』とは言い難い感じかも?
でもまあスラッシャーホラーとしては普通に及第点レベルではあるので、気になっているならチェックしてみても問題ないレベルだと思いますよ。