NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「マザー」(45点/オカルト)

イメージ 1

■■■「マザー」■■■
(45点/オカルト)

 楳図かずおの自叙伝の出版を担当する事になった新人編集者の若草さくらは、彼から自分の半生の話をインタビューで聞くうちに、彼の母親であるイチエの死にまつわる奇妙な話を聞かされる。

 楳図の話を聞くうちに、彼の創作の原点が亡くなった母親にあると考えたさくらは、取材のために彼の生まれ故郷である山間の村を訪れるが、イチエの過去を調べていくうちに次々と不気味な現象に遭遇するようになり…



 楳図かずおの自叙伝を担当する事になった新人編集者が、彼の母親の過去を調べるうちに恐るべき事件に巻き込まれていくという、オカルトホラー映画。

 ホラー漫画家として有名な楳図かずおが監督を担当したホラー映画という事で話題になった本作ですが、映画の中身の方は割と『普通のJホラー映画』って感じの作品ですね。
 (まあ楳図かずお先生は初の映画監督作品という話なので、普通レベルの映画が撮れてる辺りは十分に凄い事なんですが…)

 お話としては『新人編集者が楳図かずおの母親『イチエ』の過去を探るうちに、イチエの隠された過去と恨みを知り彼女の悪霊に襲われる』みたいなストーリーで、まあオーソドックスな謎解きタイプのオカルトホラーという感じ。

 序盤からオカルトらしい雰囲気は悪くなくてお話の前振りなんかも割と良く出来ている印象なのですが、ちょっと展開が遅めで若干の冗長さを感じるのは残念なところ。

 中盤以降は一気に話が進んで盛り上がる展開になって面白くなっていくのですが、こっちは逆にシーンのつなぎ方やら状況説明、人物の心理描写の仕方等が雑で何が起こっているんだかイマイチ分かり辛いんですよね…
 (特に途中で出てきた『心理学者みたいな人たち』は何がやりたかったのかサッパリ分からなかったので、あのシーンは別に必要なかったんじゃ…)

 主人公の母親もそこまで凄惨な過去を送ってないので、幽霊になって周辺の人間に復讐するほど強い恨みを抱いていたようには感じられなくて説得力が無いですし…

 なんというか演出・ストーリー共に全体的に粗い作りの部分が多い印象ですが、まあ楳図かずお先生が監督に初挑戦した作品という事を考えると仕方無いのかなぁ?
 特撮とかも全体的に安っぽくて、ちょっと地味で物足りないのも惜しいところです。

 あと非常に残念な部分としては、漫画家の本人が監督をした割にはいま一つ『楳図テイスト』が強く感じられない部分が多いという所ですかね?

 楳図作品というとあの過剰なまでに『おどろおどろしい雰囲気』が売りだと思うので、もっとそういう独特のテイストを表現するのに注力して欲しかったですよ。
 (他の楳図かずお漫画の映画化作品では雰囲気を上手く再現してるものもあるので、ちょっと残念。)

 ただ、赤いボーダー服を着た片岡愛之助の演じる楳図かずおはなかなか良い味を出してて良かったですね。
 (でも楳図かずお本人の方がアクが強すぎるので、もうちょっと芝居がかった大げさな演技でも良かったかも?)


 総評としましては、悪くは無いんだけど誉める部分もあんまり無いという『及第点レベルのJホラー映画』って感じの作品ですかね?

 そこまでオススメするような作品でも無いですが、楳図かずお先生が監督をやっているというネタだけでも話題性はあると言えるので、楳図かずお先生のファンであればチェックしておいても損は無いかも?

 でもせっかく楳図かずお先生が監督をするなら、もっと変態テイストとか変人っぷりを活かした作品を観たかった気はしますので、次があるならばそういう方向性の作品に挑戦していただきたいところですよ。