NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「キョンシー」(55点/サスペンス)

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■■■「キョンシー」■■■
(55点/サスペンス)

 過去に霊幻道士役の俳優だったチンは、今はかつての名声を失い妻や子供とも別れて絶望に閉ざされて生活を送っていた。
 死に場所を求める彼は、幽霊が出るというウワサのある古びた団地の2442号室に入居する事となる。

 住人たちからこの部屋の過去にまつわる秘密を知らされた彼は、なし崩しに双子の幽霊退治に協力する事となるが、その頃、死んだ夫を蘇らせようとした仕立屋の老女のせいで死体がキョンシーとして復活してしまい…



 幽霊の出るという団地に引っ越した男が双子の幽霊やキョンシーと戦う事になるという、オカルトサスペンス映画。

 「呪怨」の清水崇監督が製作に関わったという事で話題になった香港製のオカルトホラー映画ですが、確かに映像やら演出やらのあちこちに清水監督らしいテイストが感じられる作品になっていますね。

 おかげで絵面や不気味な演出がなかなか怖くて良い味を出しているのと、双子の幽霊でオカルト要素を仕込みつつキョンシーとの対決でアクション要素も描くという感じで、日本らしいオカルト要素やら香港らしいアクション要素やら色んな要素を詰め込んで盛りだくさんな内容になっているのは良い感じです。

 ただ色々と詰め込みすぎた影響なのか、とにかく序盤のお話が難解で分かり難いのは困りもの。

 『元俳優の男が引っ越してきた先に双子の幽霊が出て、幽霊退治に協力する事になるんだけど実はその事件には裏があって…』みたいな感じのお話なのですが、登場人物の人間関係やら幽霊の話やらがゴチャゴチャしすぎていて、自分は中盤ぐらいまではお話の設定が殆ど理解できなかったですよ。

 特に主人公が過去に霊幻道士役の俳優だったという設定とか、主人公の分かれた妻と子供の話とか、意味ありげに描かれた割には本編では全く活かされなかったので、ここまでゴチャゴチャと設定に組み入れる必要があったのかと、ちょっと疑問です。

 また絵面や演出は良い感じなのですが、肝心のキョンシーが登場してお話が盛り上がるまでが矢鱈と長いのも気になるところ。

 キョンシーが登場してからの展開は結構派手で面白いんですが、マトモに登場するのが60分を過ぎた辺りのストーリーの終盤に入ってからで、タイトルにまでなってる割にはあんまりキョンシーの出番がありません。

 派手な映像や展開をウリにするのであれば、もうちょっと中盤辺りから登場させて大暴れされて欲しかったかなぁ?

 ラストのオチも序盤に用意に想像が付くような展開なうえに特に面白い訳でも無いので、変に捻ったオチにするよりも普通にアクション重視のホラー映画として描いてた方が良かった気がします…

 何か色々と面白い要素を組み込もうとしているのは分かるのですが、ちょっと中途半端な印象を受ける部分が多かったのは残念でしたよ。


 総評としましては、怖そうな絵面やら派手な演出やらといった見どころはそこそこあるものの、『全体的に物足りなさを感じさせるアクションホラー映画』って感じの作品ですね。

 予告の映像やら演出やらに興味があるならば、その辺を見るためだけにでも鑑賞しても良い作品だとは思いますが、盛り沢山な感じの内容に期待しているとちょっと肩透かしを食らわされるかも?

 ともあれ清水崇監督のテイストは感じられる作品なので、そういう方面に期待してる人ならばチェックしておいても良いと思います。