■■■「パトリック 戦慄病棟」■■■
(55点/サスペンス)
古い修道院を改造したロジェット・クリニック。
その病院では昏睡して植物状態となった患者の治療と回復の研究が行われていた。
病院に赴任になったキャシーは、院長が『特別な研究対象』としているというパトリックという少年の世話をする事になるが、彼の世話を続けるうちに彼は体が動かないだけで実は意識があるのではないかと考えるようになる。
そして、キャシーがパトリックとコミュニケーションを取り続けるうちに、彼女の周りで奇妙な事件が相次ぐようになり…
サイキックパワーを持った植物状態の少年の引き起こすパニックを描いた、サイキックホラー映画。
自分は知らなかったのですが、本作はもともと1978年に作られた「パトリック」ってホラー映画のリメイクに当たる作品のようですね。
オリジナル版を観ていないので内容を比較する事はできませんが、本作で妙に演出とかが古臭い印象を受ける部分が多かったのは、その辺を意識してるのかしらん?
…って感じで、何か全体的に懐かしさを感じさせるようなノリの作品です。
お話としては『昏睡からの回復の研究と称して人体実験のように扱われている植物状態の少年が、実は意識があって更にサイキックパワーを持っており…』みたいな感じのストーリー。
サスペンス要素が強めの内容なのですが、何と言うかサスペンス重視の割にはストーリーに整合性が無いというか、ちょっとグテグテな部分が目立つ印象です。
序盤~中盤にかけての『謎の提示』の部分は面白くて、パトリックの隠された過去とか院長と婦長の持っている秘密とか、『いったいどんな謎が隠されているんだろう?』とワクワクさせられるのですが…
肝心の謎解き部分でいま一つ釈然としない部分が多くて、結局なにが言いたかったのか良く分からない要素が多過ぎなんですよね。
院長と婦長がパトリックを特別視していた理由も不明ですし、パトリックが意識があるのに何で甘んじて人体実験を受け続けていたのかも謎すぎます。
極度のマザコンだった事もお話に特に絡んで無いですし、ヒロインに行為を寄せた理由も弱すぎるので、何かもうちょっとソレっぽい理由付けがあっても良かったんじゃないかなぁ?(ヒロインが実は母親に瓜二つだったとか…)
ただサスペンスとしては肩透かしを食らわされた感じですが、ホラーとしての部分はまあまあ及第点という印象。
サイキックパワーで刃物やガラスの破片を飛ばして攻撃したり電話を通じて人間を操ったりするのはなかなか怖いですし、見せ場としても悪く無いです。
古びた病院の雰囲気とかも悪く無いですし、ビジュアル的にはそこそこ観るべき要素もあるのですが、ただどうでも良いシーンでも無闇矢鱈とショッカー演出を連発するのは、ちょっと安っぽさが強調されてしまう感じなので止めて欲しかったかも?
あと、ラストで『ヒロインの見た夢』のオチの意味が全く分からなかったのは自分だけですかね?(暗喩って感じでも無いですし、あのシーンは何が言いたかったんだろうか…)
総評としましては、特にコレという程の観るべき要素は無いものの『可も不可も無い感じのサイキックホラー映画』って感じの作品です。
とりあえず雰囲気とか盛り上げ方とかは割と良い感じなので、気になっているのであれば、まあ観るのを特に止めるような作品では無いかなぁ?
あと自分はオリジナル版を観てないので分かりませんが、オリジナル版と見比べる為に観てみるってのはアリかもしれませんよ…
(というかオリジナル版と見比べた人に感想を聞かせて欲しいかも…)