■■■「レジェンド・オブ・ヴィー 妖怪村と秘密の棺」■■■
(55点/アドベンチャー)
18世紀のロンドンに住む科学者で地図製作者のジョナサンは、トランシルヴァニア地方の未知の地域の地図を作成するために旅に出る。
人里離れた道中で神学生の青年たちと出会った彼は、魔女や悪魔の現れるという噂のある隠された村と、その村で彼らが体験したという驚くべき怪奇現象の話を聞かされる。
その村を記録しようと村に立ち寄った悪魔の存在を信じない彼は、村の地主から依頼されて悪魔の出るという教会に赴き、魔女事件の真相を突き止めるための調査を開始する事となるが…
トランシルヴァニアの辺境にある閉ざされた村で地図学者が『魔女事件』の真相を探るという、オカルト風味の冒険映画。
1967年にロシアで作られたカルトムービーである「妖婆 死棺の呪い」のリメイクに当たる作品で、ブッ飛んだ内容のカルトムービーのリメイクという事で期待してたのですが…
うーん、これはこれで割と面白かったのですが、『期待してたのと何か違うなぁ…』ってのが正直なところの作品です。
オリジナル版は短編で『若い娘の死体を見張る神学生が、娘の死体を狙った妖怪や百鬼夜行の群れに襲われる』というそれだけの内容で、『得体の知れない異形の怪物の群れ』やら『棺桶に乗って空を飛ぶ妖女』やら物凄いインパクトのある映像は多いもののストーリーらしいストーリーも無かったですので、そのままリメイクするのは難しいと判断されたのでしょうが…
別にその判断は誤ってないと思うのですが、なんか『謎解きメインの冒険もの』のようなノリで、オリジナル版の『神学生と妖怪の群れ』のシーンは回想でちょっと出てくる程度になってしまっており、オリジナルのような『破天荒なノリ』や『インパクトのある映像』を期待していた自分としては、どうにも物足りない感じです。
お話としては、オリジナル版にも出てきた『棺に入っている少女』を誰が殺したのかとその原因を探るみたいな展開で、サスペンス&冒険要素が強めな感じ。
謎が解き明かされていくうちに『村での権力争い』や行方不明になった『大量の金貨』の話が出てきたりしてお話が盛り上がっていくという作りで、ところどころの回想シーンやらで妖怪が登場するというような展開です。
ただお話自体は割とシッカリと作られているのですが、登場人物が意外と多くて人間関係も思いの外に複雑で、自分はラスト付近で謎解きされるまで誰と誰がどういう関係なのか良く分かりませんでしたよ。
また展開が全体的に遅めで、お話の核心に近づくまでの展開がちょっとダラダラしており、どうにも冗長な印象を受けたのも残念なところ。
あと、妖怪の登場するシーンはCGとかをガッツリ使っており映像のインパクトもあるのですが、本編の長さに対して妖怪の出番が少な目で正直言って物足りませんでした。
お話はもうちょっと簡潔で良いので、オリジナルのノリを踏襲してもっとガッツリと妖怪の出番を増やして欲しかったですよ。(オリジナルは「妖怪総進撃」みたいなノリなので…)
総評としましては、単純に『ファンタジー風味の冒険もの映画』として観るならば『それなりに楽しめる作品』という感じですが、「妖婆 死棺の呪い」のリメイクとして観ると『何か違うかも?』って印象の拭えない作品です。
映画自体はそれなりに面白いので、気になっているならば観ておいても損は無い作品だと思いますが、オリジナルに思い入れがあると微妙な評価になってしまうかもしれません。
まあオリジナルと同様に独特のノリを持った作品ではあるので、ちょっと変わったノリの冒険映画とかが好きであればチェックしてみても良いんじゃないでしょうか。