■■■「オオカミは嘘をつく」■■■
(50点/サスペンス)
イスラエルの町外れの森の中で、少女が拉致されてレイプと拷問をされたうえで殺害されるという凄惨な連続殺人事件が発生する。
刑事のミッキは容疑者として一見温厚そうな宗教学の教師のドロールを追い詰めるが、暴行を加えて尋問するという不法な取調べ現場を民間人に目撃されてしまった事から、担当を外されて停職処分を与えられてしまう。
しかし犯人の追跡を諦めきれない彼は、単身でドロールの事を追い詰めようとするが、そんな最中、同じように娘の復讐を果たそうとする犠牲者の父親のギディがドロールを拉致しようと計画を進めていたのだった…
娘を殺された父親と執念で犯人を追う刑事が連続殺人の容疑者を監禁するという、イスラエル製のシチュエーションスリラー風味のサスペンス映画。
タランティーノ監督が絶賛した作品というふれこみのイスラエル映画ですが、確かに中身の方は『タランティーノが好きそうなシチュエーションだなぁ』って感じの作品でした。
お話としては、『連続少女レイプ殺害事件の容疑者を一人の刑事と犠牲者の父親が追い詰めていく』という感じの展開なのですが、設定からしてもっと謎解きサスペンス的な要素の強い作品かと思いきや、殆ど監禁されてからのシーンがメインという監禁タイプのシチュエーションスリラー映画みたいな内容ですね。
実際の中身の方はシチュエーションスリラーというか、割とバイオレンス成分の濃い目な感じで、監禁された容疑者が自白を強要されて拷問され続けてくんだけど、『本当に容疑者は犯人なのか?』という謎解きと『犯人不確定のまま取り返しの付かないラインを越えるかどうか』ってところがサスペンスとして緊張感のある駆け引きとして描かれています。
娘を殺された父親の執念とクレイジーっぷりがなかなか良い感じで、鬼気迫る雰囲気が怖くて良いですね。
逆にもう1人の主人公である刑事がちょっと影が薄めなのは残念なところなので、もうちょっと個性を押し出しててもよかったかも?
(まあ刑事は後半で重要な役目があるんですけど…)
また、序盤はちょっと話が進むのが遅くて冗長な感じで少しイライラさせられますが、中盤から予想外の展開に突入していき割と先の読めない感じにお話が進んでいくのも面白いです。
どうやっても『救いの無い展開にしかなりそうに無い』のは序盤から予想できるものの、ラストのちょっと捻くれた感じのオチは個人的には面白いと思いましたよ。(まあ賛否両論ある展開かもしれませんが…)
あとプロットやストーリーは面白いと感じたのですが、設定の割にはいま一つ全体的な緊張感が薄い気がしたのは残念な部分かなぁ?
それこそタランティーノの映画みたいに、もっとヒリヒリと焼け付くような緊張感が欲しかったですよ…
総評としましては、なかなか面白い設定でオリジナリティのある『そこそこよく出来たシチュエーションスリラー映画』って感じの作品でした。
ただ緊張感も含めて『もう一歩でも突き抜けた部分があれば非常に良い作品になったんじゃないか』と思うので、そういう意味では少しだけ残念な映画といった感じかも?
まあイスラエル製のサスペンス映画というなかなか珍しいジャンルですし、そこそこ個性的で面白いシチュエーションスリラー映画だとは思いますので、気になっているならチェックしておいても損は無い一本だと思いますよ。