NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

劇場にて「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」を観てきました。

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 突然現れた不死身の『巨人』たちの襲撃によって大半の人間が食い尽くされた、絶滅の危機に瀕するも、生き延びた人類は『巨人』から逃れるために巨大な三重の壁を建設し、その内側に立てこもる事でなんとか生活を続けていた。

 それから100年以上が経った現在、壁の際外縁の門前町に住むエレンは壁の中に閉じ込められた暮らしに飽き飽きし、100年以上誰も姿を観た事の無い『巨人』の伝説に疑いを持った彼は友人のミカサやアルミンと共に『壁の向こう側』を見れないかと外壁へと接近する。

 しかし偶然にもそんなタイミングで、壁の向こう側から巨大な壁を更に上回る程の『超巨大巨人』が出現。
 攻撃によって壁に穴を開けてしまった事から、穴から侵入してきた伝説の『巨人』たちによって、町は大パニックに陥ってしまうのだった…

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 劇場にて「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」を観てきました。

 いやー色々と評判は聞いていましたが、何と言いますが確かにコレは『色々と酷い』としか言いようが無い作品ですな…

 何が酷いってストーリーの改変(というか改悪)がとにかく酷い!!

 劇場版で短くストーリーをまとめるために多少改変するのは良いと思うのですが、もはや原作とは『世界観が似たような別の話』と言っていいぐらいに違うお話になっており、しかもそのお話がビックリするほど面白く無いんですよ。

 特に酷いのが主人公のエレンのキャラの改変で『親を殺されて復讐に燃える熱血主人公』じゃなくて『体制に反発する世間知らずのチャラい若造』みたいになってて、とにかくコイツに全く感情移入できないのがキツイところ。

 世界観も『長年に渡って巨人に脅かされている』という設定も微妙に変えられてるうえに、舞台を日本に改変してるせいで妙にスケール感が小さくなってるせいで『人類の存亡がかかってる』とか言われても現実味が無くて絶望感も薄い(っていうか壁の中の世界がやけに狭くない?)ですし、主人公たちの戦う動機に関してもいま一つ弱くて、とにかく話に入り込めませんでした。
 (時間軸も『巨人の襲来から2年後』が舞台のはずなのに、何故か本編中で『何年も戦い続けてるから新兵が足りない』みたいな事を言ってたりと、オリジナルの設定の中で既に話が矛盾してるし…)

 特に必要なかったと感じたのが中途半端な恋愛的な要素で『シキシマ(偽リヴァイ)のミカサ寝取られ設定』とか誰が喜ぶと思って入れたのか、脚本家を目の前に正座させて半日ぐらい問い詰めたいですよ…'''
 (でもリヴァイを出さなかったのは、ある意味で非常に正しい判断だと思った。
 もしシキシマがリヴァイだったらファンから大バッシングじゃ済まないレベルだったと思う…)

 また巨人の登場してないシーンではストーリーのテンポも物凄く悪くて、90分程度の映画が2時間強に感じられるぐらいダルくて、正直言って観てるのがちょっと苦痛なレベルでした。
 もし自分の家でビデオで観てたら間違いなく早送りボタンを押してたと思います。

 多分このストーリー改悪への不満は『原作が好きな人ほど強く感じられる』と思うので、原作のファンであればあるほど相対的に評価が低くなる感じじゃないかと…
 (自分も割と原作のストーリーが好きなので、ストーリーだけ評価するなら100点満点で5点ぐらいのレベルです。)

 ただ酷すぎるストーリー部分に目をつぶれば、特撮とかは割と良く出来ている印象。

 流石に怪獣映画を撮ってる樋口監督だけあって、超巨大巨人の出現シーンとかは物凄い迫力がありますし、立体機動装置による戦闘シーンもなかなかスピード感があって良い感じです。

 パニックシーンも適度にグロい感じで、原作を良い感じにオマージュしている(アニメだとこの辺の描写はかなりオミットされてたので)と思います。

 ラストのエレンが変身したイケメン巨人の戦闘シーンも物凄くカッコ良くてカタルシスがありますし、巨人の出現して暴れているシーンやらアクションシーンに関しては概ね満足な印象。

 ただ特撮に関して不満を挙げるとしたら、ザコ巨人のデザインはもうちょっとどうにかならんかったかなぁ?

 原作の巨人って『普通の人間をデフォルメされた不気味な姿』をしている部分に気持ち悪さがあると思うのですが、映画版はどうみても『単なる全裸のオッサンやオバサン』にしか見えないので、人間を襲っている残虐シーンを見せられても『お笑い芸人が裸でいちびってる』ようにしか見えなくて、怖いというよりもなんか笑えてしまいましたよ。

 特に巨人の集団が歩いてくるシーンとか、絶望感というよりも『微笑ましい気分』になってしまったのは自分だけでしょうか…(笑)


 総評としましては、原作を全く知らない状態なら『そこそこ観れるパニックホラー映画』なんじゃないかと思うのですが、原作を好きであればあるほど『劇場では観なくて良くてビデオで観れば十分な映画』って感じですね。
 何でビデオで観た方が良いかって、理由は『劇場では早送りできないから』です。
 (原作にそこまで思い入れが無い自分でもかなりイライラしたので、原作大好きなら序盤~中盤のツマんなさは耐え難いレベルだと思う…)

 お話も、ようやく『これから面白くなります』ってところで終わってしまうので、もし観るつもりであれば、前~後編が揃ってからビデオでまとめて観るのを割とマジメにオススメしますよ。

 逆に『ネタとして観てみたい』という事であれば、色々とツッコミどころが満載の内容ですので、そういう目的で観るのであればオススメの一本かもしれません。