■■■「ファミリー・シークレット」■■■
(40点/サスペンス)
結婚25年目を迎え真面目な会計士の夫のボブと3人の子供を持つダーシーは、ある日、ガレージで発見したあるものから自分の夫が長年に渡って巷を騒がせている連続殺人犯の『ビーディー』だという事に気付く。
警察に連絡しようと考えるも、平穏に暮らす3人の子供たちの事を思うと彼女は通報をためらってしまうものの、やがてボブに彼女が自分の正体に気付いた事を見抜かれてしまい…
長年に渡って連れ添った真面目な夫が実は連続殺人犯だったと気付いてしまった妻の辿る運命を描いた、サスペンススリラー映画。
ホラーの巨匠であるスティーブン・キングが脚本を書き下ろしたという作品だそうで、キングの書き下ろし脚本というと「ランゴリアーズ」とか「ローズ・レッド」とかがありますが、こちらはそれらと比べるとなんというか物凄く地味な内容のお話ですね。
ある意味…というか『悪い意味でのいつものキングの映画化作品』って感じの映画です。
お話としては『長年連れ添ったマジメな夫が実は連続殺人犯だったと気付くも、家族の事を考えると警察に通報をためらってしまう妻の取った行動とは…』みたいな感じのお話なのですが…
設定やストーリーからも分かるように会話劇と心理劇が中心のお話で、とにかく全体的に盛り上がりに欠ける内容。
いかにもキングの作品っぽく、登場人物のキャラクターや心理描写やらはシッカリと描かれており、夫の正体を知ってしまった事で罪の意識にさいなまれつつも、子供たちの生活や将来の事を考えると誰にも告白できずに悩みを抱えてしまうという妻の心理が丁寧に描かれてはいます。
ただ全編を通して殆どが妻が悩んでいるシーンばかりで、いかんせんドラマチックな要素があまり無くて物凄く地味なんですよね。
夫に自分が殺人鬼だと気付いている事がバレてしまいプレッシャーを感じる姿なんかも描かれるのですが、そこまで『精神的に追い詰められる鬼気迫るような展開』という程に緊張感がある訳でも無いですし、心理描写や脚本は良くできていると思うのですが流石にもうちょっと派手な描写が無いと映画としてはどうにも面白味に欠けます。
ただ終盤の展開は少しだけ意外性があって面白いのですし、ラストの落としどころもなかなか上手く、ネタバレになってしまうので詳しくは描きませんがオチで『妻の行動が赦された』と感じさせるようなカタルシスがあるのは良い感じですね。
まあ方向性としてはキングの『心理劇を中心とした短編小説』を忠実に映像化したかったのかもしれませんが、もうちょっと映画化に向いた要素を盛り込んだ方が良かったんじゃないかと…
総評としましては、『どうにも地味で盛り上がりに欠けるサスペンススリラー映画』ってのが正直な感想です。
まあ『いつものキングの映画化作品』と言えるような出来ではあるので、逆にキング原作の映画をしょっちゅう観てるような人であれば、まあ特に退屈せずに観る事が出来る内容かも?
特にオススメもしませんが、『地味すぎる』というだけでそこまでツマんない映画では無いので、キングの作品が好きで気になっているようならばチェックしてみても良いかもしれませんよ。