■■■「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」■■■
(60点/サスペンス)
第二次大戦の初期、天才数学者のアラン・チューリングはドイツ軍の使う解読不可能と言われたエニグマ暗号機の解読に挑戦するため自ら軍に志願する。
変人揃いの暗号解読組織のなかでも特に風変わりな性格の彼は、最初は仲間たちと衝突しながらも『機械で作られた暗号を解読するには機械の頭脳が必要だ』という考えを曲げずに、遂にはエニグマを解読できる電子計算機を完成させる事に成功する。
しかし解読装置を完成させた彼らを待っていたのは、更に困難な決断と運命だった…
第二次世界大戦当時、解読不能と言われたエニグマ暗号を解読する装置を作成した天才数学者アラン・チューリングの数奇な運命と生涯を描いた、戦争ドラマ風味のサスペンス映画。
コンピュータの歴史に少し詳しい人なら知っているであろう、電子計算機の基礎となる『チューリングマシン』を作成したアラン・チューリングの生涯を描いた作品で、いわゆる『実話をベースとした物語』というタイプのお話なのですが…
どの程度が創作なのかは良く分かりませんが、個人的にチューリングがこんな生涯を送っていたとは知らなかったのでなかなか興味深い内容でしたよ。
ちなみに主人公のアラン・チューリングを「シャーロック・ホームズ」の新シリーズでお馴染みのベネディクト・カンバーバッチが演じているのですが、『天才で変人』という主人公のキャラクターがそのまんまホームズでちょっと笑ってしまいました。
やっぱ、向こうではホームズのキャラクターって人気なんだなぁ…
まあそれはさておき、映画の中身の方は戦争を背景としたサスペンス風のストーリーとチューリングの生涯に関するエピソードが並行して進んでいくような感じのお話ですね。
ただサスペンスとして暗号解読の謎解きパートはなかなか面白いのですが、お話の性質上から室内でのシーンが多くなってしまっているせいで、会話劇が多くなってしまう事からちょっと戦争映画の割には地味に感じる部分も…
でも、チューチングを中心とした人間ドラマ的な要素もかなりシッカリと描かれており、ドラマ的な部分もそこそこ面白いので全体的に退屈しない作りになっているのは良い感じです。
また最初のうちはチューリングの生涯の逸話の話に何の意味があるのか分からなくてちょっと不可解な印象を受けていましたが、ラストまで観たら終盤の展開への伏線という事で納得しましたよ。
作品としては暗号の謎解きプロセスとか主人公の感じる苦悩とかは非常に良く描かれている事から、なかなかカタルシスのある内容には仕上がっているのですが、実話をベースとしている部分もあってちょっと理不尽で微妙にスッキリしない部分もあるのは好みの分かれる部分かも?
(まあ現実は綺麗ごとばかりじゃないという事なんでしょうけど…)
あと、第二次世界大戦とかエニグマ暗号とかチューリングマシンとかの歴史的な背景を全く知らない人が観ると、若干分かり難い部分もあるので、『しっかりと作品を楽しむためにはある程度の前提知識があった方が良いかも?』って感じたのは少しだけ気になった部分かも?
総評としましては、謎解きと人間ドラマが中心のシリアス系の話ですが普通に『なかなか良くできたサスペンス映画』だと思います。
ただ個人的には非常に興味深い内容で楽しめた作品でしたが、全体的に地味なストーリーと伝記的な人間ドラマのノリにやや物足りなさを感じる人も居るかも?
でも、戦争を背景とした人間ドラマ的なノリが好きな人ならば普通に楽しめる作品だと思いますので、そういうジャンルが好きな人なら普通にオススメですよ。
あと、それに加えてベネディクト・カンバーバッチのファンの人も、チェックしておいても良い作品かもしれません…(まんまホームズのキャラなので(笑))