NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「ホーンズ 容疑者と告白の角」(70点/サスペンス:オススメ)

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■■■「ホーンズ 容疑者と告白の角」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)

 アメリカの片田舎の町に住む青年のイグは、自分の数少ない理解者である恋人でもあるメリンを何者かに殺害されたうえに、殺人の容疑をかけられてしまう。

 悲嘆と怒りのあまり絶望に暮れる毎日を送っていた彼だったが、そんなある日、自分の頭に『悪魔の角』のようなものが生えているのを発見。

 最初は驚いたものの、何故かその角に『他人に秘密を告白させる能力』があると気付いた彼は、その角の力を使って恋人を殺した真犯人を突き止めようとする。

 しかしその行為は、自分の周りの人々の欲望や汚い一面を次々と暴き出す事となってしまうのだった…



 何者かに恋人を殺された上に殺人の容疑をかけられた青年が『他人に秘密を告白させる角』の不思議な力使って事件の真相を探ろうとするという、ファンタジー風味のサスペンススリラー映画。

 ハリー・ポッター」のダニエル・ラドクリフ主演なうえに、S・キングの息子であるジョー・ヒルが原作の小説の映画化という事で、結構話題性のありそうなネタの割にはあまり話題に上っていないという不思議な作品ですが、話題になってない割には結構良く出来たサスペンス映画に仕上がっている印象の作品でした。

 ちなみにハリポタの中の人が主演という事からか妙に子供向けっぽいタイトルが付いていますが、内容の方は全く子供向けじゃないうえにハリポタとはかなり方向性が違うので、こんなタイトルは付けない方が良かったんじゃ無いかと言う気も…

 お話としては『恋人を何者かに殺害された青年の頭に唐突に『悪魔の角』が生えてきて、その角を前にすると人々が自分の隠している『秘密』を告白してしまうという能力を使って犯人探しをする』という感じの、ファンタジー(というよりオカルト)要素の強めのサスペンス映画って感じですね。

 主人公の周りの『人間ドラマ』と犯人探しの『謎解き要素』が同時に進行していくという感じの作りなのですが、主人公の力がいかんせん『悪魔』の能力なので、『人々の秘密を暴き出していく』というの流れの中で能力に触れた人々が『本音』や『欲望』に忠実に行動するようになって、大混乱に陥って行くというブラックな展開はなかなか面白いですね。

 また主人公は能力を使う事によって真実に近付くと同時に自分に向けられた悪意や敵意にも曝される事になり、自分自身も傷つきながら真相を追っていくという辺りがシリアスな要素として上手く織り込まれているのも良い感じ。

 人間ドラマ的な要素もなかなか良く出来ており、もともとが割と長い小説を切り詰めて映画化されたもののようなのですが、主人公周りの登場人物のキャラクターもシッカリと描かれていてドラマとしても十分に楽しめるレベルにまとめられているのは上手いです。

 ただやはり元が長い小説だけあって、少年時代の回想シーンとかはちょっと間延びする印象があるのは残念な部分かも?

 あとサスペンス謎解き要素に関しては、ぶっちゃけそこまでたいした事は無くて割と簡単に展開が読めてしまうのは惜しい感じ(というか主人公の能力がかなりチートなので謎を突き詰める要素が無い)なのですが、ヒロインの隠していた『秘密』とかが良い味付けになっていて、謎解き部分の浅ささをあまり感じさせない作りになっているのは上手いです。

 でも何で主人公に急に『悪魔の角』が生えてきたのかの説明とかは一切ないですし、細かい部分に関してはホントに『ファンタジー』のままで説明不足の要素も多いので、そういう要素が気になる人には微妙に感じてしまうところも多いと思いますが全体としては非常に良く出来た作品なんじゃないかと…


 総評としましては、ツッコミ要素は強めながらも『なかなか良く出来た佳作レベルのファンタジー風味のサスペンス映画』って感じの作品です。

 S・キング的な人間ドラマ的な要素やらブラックなコメディ的な要素やらが好きな人であれば、なかなか楽しめる作品ですので、そういうノリが好きならばチェックしておいても損はない一本でしょう。

 あと、ダニエル・ラドクリフは相変わらず年齢不詳すぎて妙な違和感を感じますが、彼のファンであれば新たな芸風として観ておいても良いんじゃ無いかと思いますよ。