NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「パージ」(55点/サスペンス)

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■■■「パージ」■■■
(55点/サスペンス)

 近未来、アメリカ合衆国では犯罪や貧困の抑止策として、1年に一度の12時間だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる『パージ(浄化)』の日を制定し実施していた。

 防犯システムの販売会社に勤めるジェームズは、そのパージの日の夜をセキュリティシステムで守られた自宅で家族と共に過ごす予定だった。

 しかし、開始直後に息子が助けを求める男性を保護するために家に入れてしまったところ、その男性がパージによる『浄化』を信仰する狂信的な宗教団体のターゲットだった事から、家族全員が武装した狂信者の集団から命を狙われる事となってしまい…



 全ての犯罪が合法となる『パージ(浄化)』の夜にとある家族が狂信者の集団から命を狙われるという、サスペンススリラー映画。

 『12時間だけ全ての犯罪が合法となる夜』という個性的な設定で話題となっている本作ですが、『犯罪が合法となる日を設ける事で国民のガス抜きをしつつ(殺し合いをさせる事で)貧困層の人間を減らす』という設定は捻りが利いてて確かに面白いですね。

 ただ設定は面白いんですが映画の中身の方はそこまで個性的でもなく、いわゆるホームインベージョンものの亜流という感じの内容の作品です。

 『パージの夜にとある裕福層の家族が一人のホームレス男性をかくまった事から、パージを信仰する宗教団体から命を狙われる』というような感じの内容なのですが、導入部分でキチンと独特の世界観を描きつつお話を展開させていく構成はなかなか上手いです。

 『合法』とは言え人を殺してしまう事によって後戻りできない領域に踏み込んでしまうという、モラルハザードを題材とした人間ドラマ的な要素なんかも少しだけあり、その辺は世界観を上手く活用している印象。

 ただ世界観が独特な割には、やってる事は攻めて来る『狂信者の集団』と戦うという事に殆ど終始してしまっている感じで、やや世界観を活かしきれていない感じなのは残念なところですねぇ…
 (ぶっちゃけて言ってしまえば、『狂信者の集団に殺されそうになる』なんて展開は『パージ』って設定が無くても普通のスリラー映画でもありがちな内容ですし…)

 終盤でちょっとだけどんでん返し的な展開があるものの、もっと犯罪が合法になるという世界観を活かした激しいバイオレンス要素やら、『裏切り』やら『駆け引き』的な心理サスペンス的な要素があるかと期待していたので、その辺はどうにも肩透かしな感じでしたよ…

 あと『全ての犯罪が合法』だったら、もっと殺人よりも『略奪』やら『強盗』やらの犯罪が増えると思う(パージ期間に手に入れたものは合法的に手に入れた事になるんだから)んですが、『暴力性の解放』にばかり焦点を当てられてたのも違和感があった印象。

 オチもちょっとパンチが弱いですし、この設定ならもっとブラックな感じのオチでも良かったんじゃないかなぁ?

 お話自体はそれなりに面白かったのですが、面白そうな設定の割には、どうにも設定を活かしきれていないような部分が多く感じられたので、もうひと工夫ぐらい設定を上手く活かす要素が欲しいと感じた作品でしたよ。


 総評としましては、独特の世界観の割には『想像以上に普通の内容のサスペンススリラー映画』って感じの作品です。

 映画としての完成度はそこまで低くないので、気になっているなら観ておいても損は無いと思いますが、過剰な期待をすると肩透かしを食らってしまうかも?

 なんでも続編のパージ:アナーキー」の方は割と世界観を活かした内容になっているとのウワサですので、近いうちのそちらの方も鑑賞してみようかなと思いますよ。