NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「パージ:アナーキー」(70点/サスペンス:オススメ)

イメージ 1

■■■「パージ:アナーキー」■■■
(70点/サスペンス:オススメ)

 近未来、政府の貧困対策として制定された、1年に1度の1年に一度の12時間だけ殺人を含む全ての犯罪が合法となる『パージ(浄化)』の夜。

 元警官のレオは自分の息子を殺したある男への復讐を画策していた。
 しかし男への復讐に向かう矢先に、街中で謎の集団の襲撃を受け拉致されそうになっている母娘と遭遇した彼は、持ち前の正義感からゆきずりの彼女たちを救う事となる。

 更には、パージから逃れようとするも車のトラブルで街中に取り残されていた若いカップルと出会った彼は、彼らを安全な場所へと避難させるための逃避行を行わなくをえざるなり…



 殺人を含む全ての犯罪が合法となる『パージ(浄化)』の夜に、死んだ息子の復讐を果たそうと画策する男が思いがけないトラブルへと巻き込まれていくという、サスペンススリラー映画。

 同じ世界観を扱った「パージ」の続編に当たる作品ですが、前作が個性的な世界観の割には単なるホームインベージョンものの地味なサスペンス映画だったのに対して、本作は前作の不満を解消するかの如くに街全体を舞台としてキチンと世界観を活かした面白い作品に仕上がっています。

 お話としては、『パージの夜に一人の男が復讐に赴こうとするものの、なりゆきからとある母娘を助ける事となってしまい…』というような展開で、タイトルどおりに無秩序(アナーキー)な状態となった街で生き延びようとするというサバイバルアクション的な内容が描かれているのですが…

 街中が『無差別に殺戮を行う者』やら『個人の恨みを晴らそうとする者』、『組織だって殺戮や誘拐を行う者』に加えて『何らかの目的を持って行動する謎の組織らしき連中』までが入り乱れて登場するという世紀末ヒャッハーなカオス状態で、ニューヨーク1997」をほうふつとさせるような無法の無政府状態的なノリがなかなか楽しいです。

 ストーリーの方も単に暴漢どもから逃げ続けるという展開だけでなく、ヒロインの近隣の住人が実はアレな感じだったり、何かの陰謀に関わってそうないわくあり気な連中が出てきたり、謎の集団に拉致されそうになったりとか、最後まで非常に変化に富んだ展開でストーリーの先が全く読めない作りなのも面白い。

 お話のテンポも良くアクションシーンなんかもそこそこ豊富なので見ていて途中で退屈しませんし、アクション重視な内容の割には意外とシッカリと張られた伏線やらちょっとしたドンデン返し的な展開やらが含まれており、凝ったストーリーやらテーマ性やらもそれなりに盛り込まれているのも良いですし、オチの落としどころもなかなか上手くて良い感じでした。

 ただ、いかんせん低予算映画な事もあって、アクションや特撮やらのショボさが若干目に付く部分があるのは、致し方ないとはいえ少し残念なところかなぁ?

 また、前作で気になっていた『なんで誰も銀行とかを襲わないの?』って部分には説明があったものの、やっぱ『全ての犯罪が赦される』って割には犯罪が『殺人』にばかり偏りすぎな気がするので、その辺は相変わらず違和感があったかも?
 (実際にこんな制度があったら殺人よりも略奪や破壊活動をする人の方が多いと思うし…)

 あと、割とどうでも良いことなのですが『主人公がただの警官のクセに強すぎだろ、どこの特殊部隊だよ!!』という部分を疑問に感じたのは、自分だけでは無いと思います。


 総評としましては、やや低予算気味ながらも『非常に良く出来たアクション風味のサスペンススリラー映画』って感じの作品ですね。

 前作では上手く活かしきれていなかった世界観やら設定やらが上手く消化された内容となっているため、是非とも『前作を見てガッカリした人』にこそ見て欲しい一本という感じでしたよ。

 他にも、このシリーズの独特の世界観やら設定やらが気になっている人やら、世紀末ヒャッハーの無秩序状態のノリが好きな人ならばそこそこオススメできると思うので、そういう部分が気になっているのであればチェックしておいても損は無い映画だと思いますよ。