NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「デッドライジング ウォッチタワー」(55点/モンスター)

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■■■「デッドライジング ウォッチタワー」■■■
(55点/モンスター)

 ゾンビウィルスによるパンデミックの発生した世界。

 オレゴン州イーストミッションという街でゾンビの感染が発生した事から、政府の組織であるFEZA(ゾンビオーソリティ)によって、街は巨大な壁によって隔離され『ゾンブレックス』というゾンビウィルスの治療薬によってエリア内の人々の治療が開始される。

 ジャーナリストのチェイスは相棒のカメラマンのジョーダンと共に街の取材を開始するが、FEZAの持ってきた治療薬が何故か感染者に効かないという事件が発生し、感染者が次々とゾンビ化して暴走を開始し街は大パニックに陥ってしまう。

 パニックに巻き込まれたチェイスはジョーダンとはぐれてしまいながらも、クリスタルと名乗る女性に助けられて質屋に閉じこもる事でゾンビの襲撃を逃れつつ事件の原因を探ろうとするが、その頃、事態を収拾する為に軍は街への空爆の準備を開始しようとしていたのだった…



 ゾンビウィルスの治療法が確立された世界で、なんらかの理由で治療薬が効かなくなった事によって発生したゾンビパンデミックの恐怖を描いた、モンスターパニック映画。

 タイトルと同名のカプコンの人気ゲームである「デッドライジング」をベースとした作品で、ストーリー的にもゲームの後の後日談を題材にしたお話ですね。

 非常にゲーム版を意識した内容の作品で、主人公たちが手近なものをなんでも武器として活用してゾンビと戦ったり、ガラクタを組み合わせて『コンボ武器』を作成したりと、ゲーム版を好きだった人ならばニヤリとさせられる要素が満載なのは良い感じと言えるでしょう。

 主人公たちの敵キャラもゾンビだけじゃなくてサイコなバイカー軍団が登場してみたりと、ゲーム版を徹底的にリスペクトした作りになっているのも面白いところ。

 他にもゲーム版に関連する小ネタが大量に仕込まれており、まさにゲームをプレイした人を楽しませる事に徹底した作品に仕上がっている印象です。

 ただ逆に、ゲーム版を知っていると問題なく楽しめる内容ではあるのですが、ゲーム版を知らないとちょっと分かり難い部分があるのは気になるところかも?

 ゲーム内で登場したゾンビ治療薬の『ゾンブレックス』が出てきたり、ゲーム版の主人公であるフランクさんがゲストで登場したりと、ゲーム版を知って居る事が前提でお話が展開していく部分が結構あって、特に『ゾンブレックス』関連の話(24時間に1回の投与が必要)とかはゲームをプレイしてないと分かり辛い設定だと思うので、もうちょっと丁寧な説明があっても良かったかも?

 また『ゲーム版をリスペクトしたファン向け作品』としては面白い部分が多いのですが、逆にゲームを全く知らない人が観た場合に純粋にゾンビ映画として面白いかと言われるとやや微妙なところ…

 主人公たちが自作の『コンボ武器』を使ってゾンビ相手に立ち回りを繰り広げるシーンは楽しいのですが、映画全体の尺の割に意外とゾンビと戦うシーンが少なくて全体的にちょっとテンポが悪いんですよね。

 ところどころで挿入される『空気の読めないフランクさん』をネタにしたギャグもツマんなくて寒いだけ(っていうかフランクさんのキャラがゲーム版と変わり過ぎてて、ちょっと不快なレベル)ですし、ストーリーも捻ってる割にはそこまで面白い訳でもないです。

 どうやらTV映画らしくて、途中で画面が急に暗転するシーンがちょくちょく挿入されるせいでブツ切り感があるのも残念な感じですし、ラストも矢鱈とアッサリしてるうえに物凄い投げっぱなしな終わり方で、いま一つスッキリしない感じなのも微妙なところ…

 ちょっとゲームの構成をリスペクトする事を意識しすぎてテンポを崩してる部分がある気がするので、映画版はもっと映像作品として見せる事に特化した構成でも良かったんじゃないかなぁ?


 総評としましては、純粋にゾンビ映画として観るならば『それなりに観れるものの、ちょっと物足りなさの残るゾンビ映画って感じの作品です。

 ただ、ゲーム版をリスペクトした映画化作品として観るとなかなか楽しめる要素が多く、ファンならば小ネタやゲームネタを探すだけでも十分に面白い内容だと思うので、ゲーム版が好きだった人なら観ておいて損は無いでしょう。

 「デッドライジング」の映画化作品と言えば、日本版の「屍病汚染」は『金をドブに捨てる気か?』ってぐらいに残念な出来でしたので、『キチンとしたデッドライジングの映画化作品が観てみたい』という人には間違いなくオススメできる作品だと思いますよ。(笑)