NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:「死霊高校」(60点/オカルト)

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■■■「死霊高校」■■■
(60点/オカルト)

 1993年に高校で上演された「絞首台」という演劇の舞台で、主役のチャーリーと言う男性が不慮の事故で命を落とすという事件が発生。

 それから20年後の現代。
 高校生のリースは事件と同じ演目の「絞首台」で主役を演じる事となるが、どうしても役を上手く演じることが出来ない事から、セットを破壊して劇を中止にしようと企み、ビデオ撮影が趣味の友人のライアンらと共に深夜の学校に侵入する。

 しかし、学校の中で同じ劇でヒロインを演じるファイファーと偶然に出会ったために彼らは計画を断念する事となるが、学校から脱出しようとしたところ、全てのドアに鍵がかかったうえに何故か電話も通じなくなるという奇妙な現象に遭遇。

 脱出の方法を探すうちに事務室の奥に隠された古い倉庫に侵入した彼らは、その場所で何故か20年前の事故のビデオが再生されているのを目撃。
 その直後から、彼らの周りで異常な現象が発生しはじめ…



 20年前に死亡事故が発生した高校で当時と同じ演目を演じる事になった若者たちが、深夜の学校で恐るべき恐怖に遭遇するという、POV形式のオカルトホラー映画。

 パラノーマル・アクティビティ」や「インシディアス」シリーズのジェイソン・ブラムが制作したというオカルトホラーなのですが、『直球ストレートすぎる微妙っぽいタイトル』の割には思ったよりも良く出来たホラー映画という感じでした。

 お話の方は『いわくつきの演劇の舞台に出演する事になった若者たちが深夜の校舎で恐怖に遭遇する』という物凄くありがちな設定のPOVなのですが、なんというか絵面と演出が矢鱈と怖いんですよ。

 ストーリーに関しては『深夜の学校で幽霊に出会った若者たちがパニックに陥って状況に流され続ける』ってだけの展開で、実は主人公と過去の事件に以外な関連が…みたいな少しだけ捻った設定はあるものの、殆どストーリーらしいストーリーは無いような内容。

 キャラクターも、主人公からし『演技が上手く出来ないから舞台のセットを壊して劇を中止にしよう』なんて考えるような清々しいまでの身勝手クズ野郎で、加えて友人たちもかなりイラつく性格をしているので、正直言ってストーリーに関しては楽しめる要素はあまりありません。
 (まあ『イラつく性格の若者たちが酷い目に合わされる』というのを見るという意味でのカタルシスはあるんですけど…)

 ただストーリーに関しては観るべき部分は殆ど無いんですが、とにかく恐怖演出と映像の見せ方の上手さが秀逸なんですよね。

 『こんなの絶対にヤバいシーンやん!!』とか『こんなの絶対に何か起こるやん!!』というような場面で、期待を全く裏切らない形で予想通りに恐怖シーンが挿入されて、それの見せ方が非常に上手い。

 不気味な雰囲気の盛り上げ方と恐怖シーンとの緩急の付け方が良く出来ており、『ここは盛り上げるシーンでこの次にショッキングなシーンがある!!』みたいな展開がまるっきり読めちゃう作りではあるのですが、ある意味で『様式美』に則ったような感じで怖いのにカタルシスが感じられるんですよね。

 音とか映像でビックリさせるタイプの『ショッカー演出』にあんまり頼ってない作りなのもなかなかに好感触。(個人的にショッカー演出ってちょっと苦手なので…)

 この構成とPOVの主観映像の見せ方がなかなかマッチしており、単純に『怖い映像の記録映画』的なノリで映像を見ているだけでも楽しめる内容なのは良いところでしょう。

 ただ前述のとおりストーリーは割とグテグテで、正直言ってツッコミどころも結構多いですし、オチに関しても個人的には割と上手い落としどころだと思ったものの、人によっては蛇足に感じてしまう場合もありそうな内容なので、ストーリーに関してはあんまり期待しない方が良い感じなのが難点かなぁ…


 総評としましては、『思った以上に良く出来たPOV形式のオカルトホラー映画』って感じの作品です。

 少し前に流行った『矢鱈と演出だけ怖いJホラー映画』みたいなノリに、POVの主観映像を融合させたようなタイプの作品なので、映像や演出が怖いホラー映画が好きな人ならば恐らく楽しめる映画だと思います。
 ただストーリー的な怖さやら心理的な怖さやらは殆ど無いので、そういう方面の怖い作品を求めてる人には逆に物足りないかもしれません。

 個人的にはそこそこオススメ出来るレベルだとは思うのですが、割と好みの分かれるタイプの作品だと思うので『趣味に合いそうならお好みで…』って感じの一本ってところでしょうか…