NIGHT_SHIFT (B級映画&ゲーム雑感 上井某BLOG)

上井某(家主)が観た「B級映画」(主にホラーとサスペンス)の感想と、たまにゲームとかアニメとかについてつらつらと語るブログです。

映画感想:劇場にて「オデッセイ」を観てまいりました。

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 NASAの火星の友人探査ミッションチームが、火星の探索中に巨大な砂嵐に遭遇。
 想定以上の強大な嵐の猛威に緊急脱出を余儀なくされた彼らは脱出用のロケットへと向かうが、脱出の最中に宇宙飛行士の一人であるマーク・ワトニーが、飛来してきたアンテナの直撃を受けて行方不明となってしまう。

 船長は彼のバイタルサインが消失した事から死亡したものと見なし、全滅を避けるためにロケットを発射させ地球への帰還を開始。

 奇跡的に嵐の中を生き延びていた彼は嵐の後に基地まで自力で生還するも、地球との通信手段も無いままに火星に一人で取り残されてしまった事を知り絶望するが、なんとかして酸素も無く極寒の環境下に残りわずかの水と食料で、救出まで生き延びるために科学の知識を駆使してサバイバルを開始するのだった…

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 劇場にて「オデッセイ」を観てまいりました。

 いやー、これは面白かった!!

 気が早いですが『今年の一番面白かった映画』になりそうなぐらいに良く出来た作品で、『いままでに観た中で一番面白かったSF映画』って言っても過言じゃないレベル。

 ホントにこれ以上ないぐらいに『SF然としたハードSF作品』って感じの内容で、『ザ・サイエンスフィクション』と呼びたくなるぐらいに本格的なSF映画でしたよ。

 評判の良かったSF映画というと、少し前に公開されたインターステラーが非常に高評価を得たSF作品でしたが、あちらは少しニューウェーブ系』なノリなのに対して、こちらは由緒正しい『ハードSF』的なノリの作品と言えばSFファンの人なら分かりやすいかも?

 お話の内容は『火星に一人で取り残された宇宙飛行士が食料も水も残り少ない状況でなんとかして地球からの救助まで生き延びようとする』という感じの展開なのですが…

 火星の過酷な環境も発生する様々なトラブルも全てが緻密な科学描写に裏付けられており、主人公たちがそれに対して『科学的アプローチ』で解決策を見い出していくという、いかにも本格的なSFという感じの構成の謎解きが非常にカタルシスがあって面白いです。

 また主人公の明るく軽妙な態度を取りながらも生き延びるために真剣に取り組む姿も好感が持てますし、登場する宇宙飛行士や科学者たちもいい奴ばっかりで『一人の宇宙飛行士のために科学者達が国境を越えて一丸となって協力する』って展開も胸が熱くなる感じで、人間ドラマとしてもなかなか面白い。

 加えて火星にある『ある物』が主人公が生き延びるための助けとなったりと、その手のネタが好きな人ならニヤリとするような展開が仕込まれていたりとか…
 『これだよ!、これぞハードSFの醍醐味だよ!!』と言いたくなるような要素がたっぷりと盛り込まれた構成で、ホントにSFファンが喜ぶ要素を良く理解して作られている感じなのが非常に良い感じです。

 ただ逆に難点を挙げるとしたら、あくまでも『ハードSF』である事をベースに作られているため、ある程度はSF的な知識や科学知識がある事が前提となっている事かなぁ?

 ストーリーを理解するうえで『そこまで障害となる要素』はあまり無いとは思いますが、その手の知識にあまり詳しくない人が見たら良く分からないままお話が進んでしまうと感じる部分があるかも?
 (ランデブーの相対速度の説明とか重力を利用したスイングバイの説明とか、ほとんどされないまま進んでたし…)

 あと基本はリアル系のお話なので、いわゆる世間一般で考えるところの『SF映画』的な派手さに期待してる人が居たら、ちょっと肩透かしを食らわされてしまうかも?


 総評としましては、『SF好きならとにかく観ておけ!!』って言いたくなるレベルの個人的には大傑作と呼べるぐらいに楽しめた作品でした。

 ジャンル的には「スターウォーズ」みたいなスペースオペラ的なノリではなく、いわゆる宇宙兄弟」とかみたいな『リアル系のSF作品』が好きな人であれば、間違いなく楽しめる映画だと言えるでしょう。

 特に『ハヤカワSF文庫』的なハードSFのノリが好きな人なら感涙物の出来の映画だと思いますので、そういうのが好きな人は嫁を質に入れてでも観に行くべき一本だと思いますよ。